まだまだ、進化するけえ! 首位広島が阪神戦で0-7から5-7まで追い上げ「敗れて強し」を印象づけた。

貯金13の首位で4日からの「日本生命セ・パ交流戦」に突入するが、緒方孝市監督(50)は「これが最終形ではない」とチームにメスを入れると宣言。守護神中崎を抑えに固定せず、2回7失点のアドゥワを中継ぎに配置転換する。リーグ4連覇&悲願の日本一へ、ベストチームをつくる作業を貪欲に続ける。

チームの勢いを象徴するような猛反撃だった。7点を追う6回1死。西川の左前打から打線がつながる。磯村右前打、小窪四球で満塁となり、田中広が2点左前打。さらに2死二、三塁から野間の内野安打に2つの悪送球がからみ、2点を加えた。バティスタの左前適時打も飛び出し、この回一挙5点。相手の守備の乱れもあり、どちらが負けているかわからない迫力で追い上げた。

2点及ばずに敗れたが、ベンチ裏に暗いムードはない。一時は首位と8ゲーム差の最下位に沈みながら、猛烈に巻き返してきた自負がある。8連勝、4連勝、11連勝、そして5連勝。断続的な大型連勝で、首位に立った後も快進撃を続ける。この日敗れても貯金13、2位阪神に4ゲーム差。他球団がうらやむチーム状況であるのは間違いない。

それでも緒方監督は「これが最終形じゃない」とチームにメスを入れる。安定感を欠く中崎を不動の守護神の座から下ろし、アドゥワを中継ぎへ配置転換する。初めて2点ビハインドの展開で起用した中崎について「彼とは話をしている。ポジション的なものは流動的になる」と説明。先発で7試合起用したアドゥワについても「中に入って火曜日から投げてもらいます」と話した。

3連覇チームから昨オフ、丸、新井、エルドレッドが抜けた。その時点で緒方監督は、一からのチームづくりを覚悟した。「丸の穴」を埋めるのではない。現有戦力を駒として、チームを土台からつくり直す作業。苦しみ、のたうち回りながら1カ月をかけて上位打線を固め、投手陣も整備。そして、もっと強いチームをつくるため、さらなる改造に乗り出す。

4日から交流戦に突入する。指揮官は「しっかり切り替えてやっていきたい」と言い切った。カープはもっと強くなる。【村野森】