巨人坂本勇人内野手(30)がレジェンドに肩を並べる通算6本目の満塁本塁打で、5年ぶりの前半戦首位ターンを決めた。

2回2死満塁から内角高めの155キロを左翼席に運び、リーグ最速で今季チーム100号に到達した。満塁弾6本は松井秀喜、川上哲治に並ぶ巨人歴代6位タイ。今季3度目の同一カード3連勝を飾り、5連勝で貯金を今季最多の13に伸ばした。

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両手でにぎりしめたツートンカラーのバットをブン回した。2回2死満塁。坂本勇が中日ロメロの155キロ内角高めの直球を捉えた。「自分のスイングをすることだけを考えて打席に入った。あまりインサイドは意識していなかった」と決勝の24号先制満塁弾。全て150キロ超の直球勝負を挑んできた相手バッテリーに対し、カウント2-2からの5球目をこん身の一打で左翼席へ放り込んだ。

代名詞のグランドスラムに左袖の「C」マークが誇らしく揺れた。6年ぶりの満塁弾は通算6本目。「もともとホームランバッターじゃない。でも、素直にうれしい。チームにいい流れをもってこられた」。08年4月のプロ1号もセ・リーグ最年少となるド派手なグランドスラムで決めたが、15年の主将就任以来初の満塁弾も価値が高い。

優勝するために打ち、優勝するために勝つ。一挙手一投足の全てをささげ、頂点を見据える。5月12日ヤクルト戦で開幕から連続試合出塁のリーグ記録を塗り替えた。だが、チームは敗戦し「もう、その話はいいでしょ」とぶっきらぼうに帰途に就いた。大上段から発言してチームを引っ張るタイプではない。だから、シーズンオフに投手会や外野手会にも顔を出して、気取らないスタイルで団結を図ってきた。

一丸の戦いの先頭に立ち、交流戦明けからの5戦で3本塁打8打点の大暴れで5連勝。5年ぶりの首位ターンを確定させた。力負けしない強靱(きょうじん)なスイングは「軸足でなかなか打てていなかったので、重心を少し低くした」と下半身主導で全身の力をバットに込めた。2位広島とゲーム差を6に広げ独走状態を固めてきた。チームの力を束ねる坂本勇を主将に、巨人が頂点まで突き進む。【為田聡史】