バックスクリーン左へ吸い込まれる打球を、見送るしかなかった。残酷な結果に、日本ハム斎藤は口元をぎゅっと引き締めた。終わってみれば、0-5の完敗。3回4安打4失点で今季2敗目を喫した背番号1は「あの本塁打だけは…(チームに)申し訳ない」と、敗戦の責任を背負った。

先発した堀に代わり、第2先発として2回からマウンドへ上がった。3者凡退で幸先良くスタートを切ったが、0-0で迎えた4回。先頭から2連打を許し、四球も与えて1死満塁から左犠飛で先制点を失った。直後に、冒頭の場面。2死一、二塁から、オリックス安達への初球だった。高めに浮いた136キロをスタンドまで運ばれ「もっと時間を使っても良かった。その前に打たれたのと、同じような球を投げてしまった」。夏の全国高校野球選手権開幕の日。かつて、甲子園を沸かせたヒーローは、痛恨の1球を悔やんだ。

夏場を迎えて、驚くような投手起用が目立つようになった。先発の堀は、5日間で3度目の登板。先発した7月28日から中4日で救援のマウンドを踏み、今月2日からは中1日での先発が2試合連続で続いた。投手陣はまさに総力戦。栗山監督は「できることをやり残さないように、しっかりやりたい」と、シーズン終了まであらゆる手を尽くす覚悟を決めている。

引き分けを挟んで4連勝中と好相性だった相手に、6試合ぶりの黒星。指揮官は「すべて飲み込んで、明日、しっかりやります」と現実を見据えた。【中島宙恵】