広島大瀬良大地投手(28)が、粘りの投球で9勝目を挙げた。

2回に不運な当たりが続き、4連打を含む5安打1犠飛で4失点。それでも崩れず丁寧にアウトを重ねると、4回に味方が5点を取り逆転してくれた。6回6安打4失点と踏ん張り、勝ち星が転がり込んだ。「2回の連打で4失点してしまいましたが、その後は何とか粘って投げることができた」と話した。

8月9日は大瀬良にとって特別な日だった。故郷長崎に74年前のこの日、原爆が投下された。小学2年まで臨時登校し「平和学習」を受けた。長崎市内の原爆資料館は2度訪れた。「黒こげの遺体の横に子どもが立っている写真とか、(爆発した)11時2分で止まっている時計とか、強烈に記憶に残っています」。この日は11時2分に長崎の方向を向いて黙とうした。

過去8月9日には2度先発しているが、いずれも敗戦投手になっていた。14年阪神戦(京セラドーム大阪)で4回4失点と打たれ、17年中日戦(ナゴヤドーム)は6回途中7失点でKOされた。特別な日に勝てていないことが悔しかった。「勝たせてもらった1勝ですけど特別な日ですし、感謝しないといけない。いろいろ考えさせられる日になった」と話した。

首位巨人に7月18日時点で12ゲーム差をつけられていたが、そこからわずか22日で1・5ゲーム差に迫っている。圧勝もあれば、大逆転勝ちもある。変幻自在の広島を、大瀬良が支えている。【村野森】