ソフトバンクが連勝を4に延ばし、勢いが止まらない。日本ハムに3連戦3連勝。ライバルの自力優勝の可能性を直接対決で消した。右太もも裏を痛めていた和田毅投手(38)が約3週間ぶりの先発で、5回1失点と好投して今季3勝目。ベテラン左腕も復帰し、V奪回へ盤石の態勢が整ってきた。

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和田は初回から気合マックスだった。7月20日楽天戦で右足を痛めてから、約3週間ぶり。2軍戦を挟まずに“ぶっつけ本番”での1軍復帰マウンドだ。「自分の足のことで、周りには不安に思う人もいると思った。全く問題ないところを見せたいという思いがあった」。先頭の西川を見逃しの3球三振に仕留めると、大田、近藤を連続で空振り三振。3者三振という最高の形で滑り出した。

気迫の投球に打線がすぐに応えた。左肩痛からの復帰後初先発出場となった1番川島が左前打で出塁。その一打を川島は「プレッシャーかかったっす。『最高の流れつくったやん』からの(自身が凡退して)『あれ?』だとズルズルいってしまうでしょ」と振り返った。

今宮の犠打を挟み、内川の先制打までわずか8球。立て続けにデスパイネが2ラン。和田の3K発進が生んだとも言える鮮やかな先制パンチ。工藤監督も「すばらしい立ち上がり。それが初回の3点につながった。3週間空くと、さすがに難しい。経験がなせる技だと思う」とたたえた。和田は久々の登板ということもあり、5回86球でお役御免。5回に横尾に浴びたソロ本塁打による1点に失点を抑えた。

真夏の復帰劇にはベテランらしい知恵もあった。昨年、福岡・筑後市のファーム施設でリハビリに明け暮れた。その経験を生かし、今回のリハビリ期間はユニホームに一工夫した。膝下までの黒いソックスに白のユニホーム。通常のオールドスタイルと思いきや、ユニホームとソックスの間から肌が見えていた。古いユニホームを短く切ってもらったもので「実は風が中に入ってきて涼しい。昨年もとても暑かった。筑後の夏は暑いんで」。体調を整えるための、わずかな違いも大事にする。少し短くなったユニホームのズボンに「らしさ」が詰まっていた。

チームは日本ハムに3タテを食らわせ、自力Vの可能性を消し去った。13日からは仙台で、上位をうかがう楽天戦に臨む。工藤監督は「いい形で勝ってこられている。続けられるように」。V奪回のゴールへ、ライバルをたたき続ける。【山本大地】