阪神近本光司外野手(24)のバットが止まらない。中日戦で3回は先頭打者で遊撃内野安打、5回は1死走者なしから中前打を放って今季34度目のマルチ安打。ともに得点には結びつかなかったがリードオフマンとしての役割を果たした。

「得点につながれば一番よかったんですけど…。凡打の内容もよくなるようにできればと思います」

これで今季122安打とし、球団新人では1950年の徳網茂と並んで5位につけた。マルチ安打は年間44度ペースの換算で、球団新人最多である坪井智哉の40度(98年)も狙え、セ・リーグ新人最多の長嶋茂雄の48度(58年)も視界に入ってきた。

安打数の記録には「考えるとダメなので。あまり考えてません」と話す。だが、打って、走って、ファンを魅了する近本の人気は止まらない。球団のグッズショップで販売されているレプリカユニホームはS、M、Lサイズが売り切れで、入荷待ち。担当者は「(9日の)京セラドーム初戦では、あと少し在庫があったんですが3戦目(11日)には売り切れてしまいました。人気なので、すぐに発注します」と説明。球団公式サイトで購入しようにも完売のため「近本」の欄だけ選択できなくなっている状態だ。

伝え聞いた近本は「え! 売り切れなんですか? たくさん応援してもらえてありがたいです」とファンへの感謝を口にした。「CHIKAMOTOって書いてある、自分のユニホームを着て球場に来てもらって本当にうれしい。グラウンドからスタンドを見たときに『5』を見つけると『あ、今日も頑張ろう!』って。僕のグッズを持って、応援してくださっているファンの方からパワーをもらってます」と元気の源であることも明かした。

近本の奮闘が、ファンを魅了し、さらに虎を強くする。【真柴健】