2年連続4度目の「トリプルスリー」達成へ、突き進む。ヤクルト山田哲人内野手(27)が1回、先制の30号3ランを放ち「トリプルスリー」達成条件の1つをまずクリアした。2試合連続本塁打で、8月に入り13戦で6発とコンディションは上昇。打率も7月15日以来の2割8分台に乗せた。チームも大勝し、DeNAに3連勝を飾った。

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最後まで、山田哲は諦めない。1回無死一、二塁、DeNA先発浜口の2球目、内角低めの141キロ直球をフルスイング。豪快にバックスクリーンまで飛ばした。先制の30号3ランで2年連続4度目の「トリプルスリー」達成へ、1つ目の条件をクリアした。「(条件を)1つ達成できたことは、いいこと。素直にうれしいですね」と汗をぬぐった。小川監督は「浜口には今季やられていたので、山田の本塁打が大きかった。30号はゴールではない。まだまだ」とさらに期待を寄せた。

母校履正社の甲子園での戦いが、励みになっている。いつも大会前には、差し入れを欠かさず、今大会も必ず結果をチェックする。高校時代をすごした大阪の豊中市は、1915年に全国高校野球の前身、全国中等学校優勝野球大会が初めて開催された豊中グラウンドがある場所。「今は住宅街になっているけど、家の近く。小さいとき、横を通ったことがある」と、元祖聖地で育った“申し子”。人生で最も印象に残っている本塁打には、3年時の10年夏、甲子園で聖光学院(福島)の歳内(現阪神)から放った1本を挙げるほどだ。

シーズンは残り33試合。盗塁は25で、2つ目の条件クリアは目前に迫る。残るは打率。この日の4打数2安打で、7月15日以来の2割8分台に乗せた。プロ2年目から指導する杉村巡回コーチは「哲人には、毎年ヒットを一気に量産する“ゾーン”がある。今年はまだ来ていないから、それがこれから来るんじゃないかな」と達成を予言する。本人も「厳しいかもしれないけど、諦めずにやりたい。チームの勝利と、自分の成績にこだわりつつ、残りの試合をやっていく」。ここからが、本領発揮だ。【保坂恭子】

◇この日のDeNA戦は「結束!侍ジャパンナイター」として開催された。自身も侍ジャパンの経験を持つ一員として、球場では山田哲のメッセージVTRが流された。来年開催される東京オリンピック(五輪)出場も、掲げている目標の1つ。選出されるためには、今季の結果が重要になる。しかし、思うように状態が上がらない時期があり「今のままの成績では、代表に選ばれないと思う」と緊張感を抱いていた。稲葉監督からは走攻守の3拍子そろった選手として高い評価を得ているが、本人に慢心はない。「選ばれるように、頑張ります」と1つのモチベーションになっている。