緊張感が高まる球場の中で、ヤクルト石川雅規投手は冷静だった。8回1死までノーヒットノーラン。打球が飛ぶたびに、歓声と悲鳴が入り交じる異様な雰囲気だったが「いつか打たれるんだろうな、と思っていた」。DeNA伊藤裕に緩いシンカーを左中間スタンドに運ばれた。直後に内野陣がマウンドに集結。「ここからです」と声をかけられた。「うまくいかないよな、と思ったけど、若い子たちが集まってくれて、逆に次も集中できた」と切り替えた。今季最長タイとなる8回を被安打1の1失点、101球の完璧な内容。ファンからの大きな「石川」コールを受けてベンチへ下がった。自身4連勝で、チームトップの6勝目を挙げた。

初回に打線が大量7得点。9日の巨人戦で喫した、最大7点差からの大逆転負けが頭をよぎったが、39歳のベテランは動じず「守りにいっていいことはない」と攻めの投球を貫いた。奪三振は6で、得意のゴロアウトが10と持ち味を発揮した。コーチ陣からも「お手本」と称される石川は「チームが3連勝できてよかった」と何度も口にした。