阪神矢野燿大監督がメッセンジャーの労をねぎらった。中日戦の快勝後、現役引退に触れて、真っ先に口を突いたのは現役最終年だった10年の思い出だ。

「1年目で、あそこで我慢したランディの粘りがここまで来たんじゃないかな」。メッセンジャーが来日1年目から悪戦苦闘する姿が鮮明だ。

開幕1軍も救援で結果を残せず、4月中旬までの11試合で防御率5・79。不振で2軍調整に入った。次に1軍のマウンドを踏んだのは7月。約3カ月の鍛錬でカーブを徹底的に習得し、先発としての開花につなげた。指揮官は言う。「本当に、あの時もランディ自身がすごく苦しくてね。なかなか1軍に上がれないなかで。あそこから、ここまでタイガースで貢献してくれたのは、あの1年目の我慢はすごくあったと思う」。まさに不屈の闘志だった。

1軍でバッテリーを組むことはなかった。だが2人は鳴尾浜のグラウンドで長く、ともに白球を追った。今季から新監督に就任し、開幕投手に指名したのがメッセンジャーだ。「チームの中心的な存在として今年も開幕やったし。ずっとチームの中心で引っ張ってくれた。本当に、1年目を見ているだけに、よくここまでやってくれた」とエールを送った。【酒井俊作】