侍ジャパン今永昇太投手が、苦しみながらも先発としての役目を果たした。地元台湾とのマッチアップ。自身2年ぶりの対戦も今回は敵地。大観衆の声援に「内野にスピーカーがあって、背中にいるような感覚。甲子園の2・5倍くらい」。過酷な環境の中、3回4安打無失点で大野雄にバトンをつないだ。

ピンチの連続を打破した。2回以外、毎回得点圏に走者を背負う展開。2点リードをもらった初回。いきなり2死一、三塁とピンチを広げた。一打出るごとにお祭り騒ぎの台湾ファン。4点リードの3回には1死満塁としたが、最後は外角へワンバウンドのチェンジアップで空振り三振。「簡単にいかないと思った。1~9番まで鋭いスイングをしていて、いろんなことに苦労した。結果的に無失点で抑えられて良かったです」。粘りの64球だった。

ピンチであれば、あるほどに冷静なハマのサウスポー。シーズン中、得点圏に走者を背負うと“あえて”相手打者のチャンステーマを口ずさんだ。巨人岡本、丸、広島鈴木、ヤクルト山田哲…よく声に出していた。「自分のクセになっていますね。逆にその方が、落ち着いて打者と向き合えるというか。自分の世界に入れるというか」。邪念をシャットアウトし、1次ラウンド全勝突破に貢献した。【栗田尚樹】