広島は8日、菊池涼介内野手(29)がかねて希望していたポスティング制度を利用した大リーグ挑戦を容認することを発表した。

侍ジャパンの一員として、プレミア12に臨む菊池涼はこの日、報道陣の前に姿を見せなかった。プレミア12では全3試合、2番二塁でフル出場。打率5割と世界の舞台で輝きを放っている。球団は3連覇に大きく貢献した功労者として、本人の夢を尊重すると決めた。

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広島から突然の発表だった。「菊池涼選手のポスティング申請を容認することを決めました」。数日前に本人から球団にポスティングシステム申請の要望があり、球団は本人の背中を押すことを決めた。

松田球団オーナー FAをしなかったことで、うちに対する気持ちはもらった。米国でどうしてもやってみたい本人の気持ちを尊重したい。ファンはショックかもしれないけれど、ずっとやってきてくれたことに感謝している。

菊池涼はプレミア12で全3試合にフル出場していることから、この日の参加希望選手による練習には不参加。報道陣の前に姿を見せなかった。国内FA権を行使しないと公表した1日には「球団とはしっかり話すことができています。今後も連絡を取り合っていきたい」と話していた。プレミア12後に本格化するとみられていた交渉は、ポスティングシステムの申請手続きの締め切り12月5日よりも約1カ月早く決着した。

17年、初めて世界を肌で感じた。日本代表としてWBCに出場し、米大リーグへの思いを強くした。18年11月には日米野球に出場。「WBCとは違った雰囲気だったので、あの頃とはちょっと違う気持ちでプレーした。間近で見たら一緒にやってみたいなというのがやっぱりあった」。自分の思いを再確認。同年オフの契約更改の席でポスティングでの米大リーグ挑戦を直訴した。「野球をやっている以上、トップのレベルでやりたい」。自分にうそをつけなかった。

今季は打撃で思うような成績を残せなかったものの、国際球を使用したプレミア12では全試合フル出場で12打数6安打、打率5割をマーク。守備でもシーズンと変わらぬ安定感を誇る。久しぶりに味わった国際舞台での刺激が、結論を早めたのかもしれない。広島の「Kikuchi」が、夢の扉をノックした。【前原淳】

▽広島鈴木球団本部長 彼はこれまで球団に多くの貢献してくれた。彼のチャレンジを尊重したい。

▽侍ジャパン稲葉監督(広島の菊池涼ポスティング容認発表を受け) 当然、みなさんにはいろんな夢があるので私は今はその夢を応援することしかできない。大会中でキクもいい活躍をしているので、世界一を取りたい