阪神ナインの原点、足跡をたどる企画「猛虎のルーツ」の第3回は、今季プロ3年目で待望の初勝利を挙げた浜地真澄投手(21)です。福岡大大濠高時代は、ひとりで過ごすことが多く、物静かだった右腕。恩師の八木啓伸監督(42)が、当時の浜地の口癖をもとに「大濠のエース」の責任が芽生えた経緯を明かした。
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取材中は終始、八木監督の浜地に対する「親心」を垣間見た。浜地が中学生の時から注目し、練習や試合をラウンドのフェンス沿いから眺めていた。高校入学後は投手として一本立ちさせるため手塩にかけた。「彼はつかみどころがない。そのつかみどころを探し続けた3年間でした」。
浜地のプロ初登板は4月4日の巨人戦(東京ドーム)。八木監督はテレビにくぎ付けになって見た。「複雑な気持ちだった。巨人戦で、東京ドームで、さらに満員の中で投げているといううれしさ。一方で『この環境、すごくきついやろうな』と思ってしまう不安。2つの気持ちが入り交じっていました」。他のことは手につかず、ただじっと画面の中の背番号36を息子のように見守った。「1軍に上がってから時間ができると顔を出すようになった。だいぶしゃべれるようになった。考えもはっきりしてきましたし、心身ともに成長したなと」。浜地の昔と今を語る口調や表情は本当のオヤジのような気がした。【阪神担当=只松憲】
◆浜地真澄(はまち・ますみ)1998年(平10)5月25日生まれ、福岡県出身。元岡小1年の時、福岡大大濠野球部OBでもある父浩充さんが当時監督だった元岡少年スピリッツで野球を始める。元岡中では軟式野球部に所属し、3年時に県ベスト4。福岡大大濠では16年春に九州大会優勝も、夏は福岡大会初戦で敗退した。今季は7月30日中日戦(甲子園)でプロ初勝利を挙げ、21試合で2勝1敗、防御率6・11。実家は1870年(明3)創業の「浜地酒造」。185センチ、90キロ。右投げ右打ち。



