<練習試合:阪神7-6楽天>◇16日◇沖縄・宜野座

開幕ローテ当確や! 阪神高橋遥人投手(24)が16日、楽天との練習試合(沖縄・宜野座)に4番手で登板し、3回3安打無失点と好投した。奪った4三振は全て見逃しで、いずれも直球。最速148キロを計測した自慢の武器を打者の左右を問わず厳しいコースに突き刺し「花丸です」と自賛した。3年目を迎えた将来の左腕エース候補が猛アピールに成功した。

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雨で湿った空気を切り裂き、うなるような直球が坂本のキャッチャーミットにズバズバ決まった。ファンの歓声とともに上がる審判の手。「自分でも本当に良かったと思う。花丸です」。サヨナラ勝ちで“勝利投手”にもなった高橋から自然と笑みがこぼれた。

7回から4番手で登板。「自分の中ではいろんなボールを使って抑えたいと思った」。最速148キロを計測した直球を軸に、カーブやスライダーなど変化球を交ぜて打者を困惑させた。8回に藤田に二塁打を浴びて1死三塁のピンチを背負ったが、ドンと構えた。「落ち着いて投げていこうと。低め低めを意識して、なんとかゼロで帰ってこようと」。和田、内田の右の代打2人の内角へ直球をねじ込み、ともに右膝を引かせて見逃し三振で切り抜けた。左打者でも7回に黒川、9回に両打ちの田中を追い込んでから、直球でバットを振らせず三振を奪った。緩急の鬼と化し、マウンドで仁王立ちした。

オフから緩急をつける投球術に磨きをかけてきた。「昨年は後半にどうしてもやられた。悪いときにストレートをいかに良く見せれるかっていうので、緩急を練習しようかなと」。キャンプのブルペンでも緩急を意識してカーブと直球を中心に投げた。昨季は18試合に先発し、5回以降に失点したのは5試合。「粘れるピッチャーになれるように。西さんとか青柳さんは粘っていいピッチングをしていた。僕は粘れなかった。今日は練習してきたことが出せた」。112~115キロのカーブで最大の武器である直球を引き立て、価値ある4三振を生んだ。

投げっぷりを見届けた矢野監督の評価は爆上がりだ。「期待はしている。2桁なんて、そんな低いふうには思ってなくて、貯金をたくさんしてくれるピッチャーになってくれるでしょう」。18年は2勝3敗、19年は3勝9敗。ともに防御率は3点台だが、援護がなく勝ち星に恵まれなかった向きもある。ようやく開花の兆しだ。阪神の左腕で2桁勝利は16年岩貞が最後で、おのずと期待は膨らむ。

それでもは高橋は一喜一憂はしない。「ローテ争いは続いていくし、実戦も続いていく。結果にこだわっていきたい」。左のエース候補がようやく一皮むけた。【只松憲】

▼阪神の左腕で、2桁勝利を挙げて貯金を残した直近の投手は16年岩貞の10勝9敗、貯金1。近年ではほかに、能見が09年13勝9敗、11年12勝9敗、13年11勝7敗と安定感を見せた。なおドラフト入団左腕のシーズン貯金最多は15で、72年江夏豊23勝8敗、井川慶20勝5敗。

▽巨人中里スコアラー すごく良かった。前より変化球でカウントを取れるようになっていたし、勝負球のまっすぐが今日はすごく良いコースに決まっていた。

▽中日金子スコアラー 素晴らしいですね。(投手陣の中で)状態は今一番いいんじゃないか。