野球は元気です-。プロ野球オープン戦は2月29日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために無観客での実施を決めて以降、初めて試合が行われた。

11年に東日本大震災の影響で練習試合を無観客で行った例はあるが、オープン戦が無観客で行われるのは史上初めて。日本ハムは「緊急事態宣言」が出された北海道・札幌ドームで、オリックスと対戦。サヨナラ勝利をおさめ、新主将の西川遥輝外野手(27)は「元気、勇気を届けられたら」。ファンが待ちわびる20日の開幕戦に向け準備を進める。

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いつもと違う雰囲気でも、新主将・西川は毅然(きぜん)と野球に向き合った。「開幕した時に元気な姿を見せることが今の自分にできること。早くコロナがなくなるように願って。(北海道でこれ以上)1人でも感染者が出ないことを願っています。元気だったり、勇気だったりを届けられたら」。6回無死一塁では左中間を破る適時二塁打。先行きが見えない状況でも、主将はできること、やるべきことに徹している。

球団はこの日、選手に対して外出禁止を通達した。同28日に北海道の鈴木直道知事(38)による「緊急事態宣言」を受けてのもの。球団職員にも業務に支障がない場合は休暇、自宅待機を奨励。単身の選手らには試合後に札幌ドームで夕食も用意された。試合前の選手取材も制限するなど可能な限りの対策を打った。

試合は1点を追う9回、杉谷がサヨナラ打で今季オープン戦4試合目での初勝利。栗山監督は「北海道がこういう状況の中で楽しんでもらったり、元気になってもらうのは野球をやっている以上、こちらの使命。我々プロ野球は我慢を示すことも意味があるし、当たり前のようにやらないといけない」と話した。

球団公式SNSを通じて、自宅待機を強いられている全国の子どもたちへ向けて「ファイターズとおやくそく」プロジェクトも開始した。選手が手洗いや消毒などを呼びかけるほか、ユーチューブでは自宅でできる体力強化などの情報を発信する予定。

西川もチームリーダーとして、等身大の言葉で覚悟を示した。「外出の自粛は北海道全体でやっていること。僕らもしっかりと、やっていかないといけない。自分たちも気を付けて、ファンの人たちにも気を付けてもらって、一刻も早く(この状況が)なくなればいい」。ファンの声援が球場に戻る日を楽しみに待ちながら、プロとして万全の準備を整えていく。【木下大輔】