本領発揮の2連発! 阪神の新外国人ジェリー・サンズ外野手(韓国・キウム=32)が来日1号&2号を2打席連続で放った。ソフトバンクとのオープン戦(ペイペイドーム)に「5番右翼」で先発し2回に左中間席へ先制ソロ、4回も同テラス席へソロ。新型コロナウイルス感染拡大防止のため史上初めて無観客でオープン戦が行われる中、昨年の韓国打点王に刺激された打線は5発の乱れ打ちで、日本一軍団を破った。

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乾いた打球音がいつにも増してドームに響いた。0-0の2回。先頭打者のサンズに待望の1発が飛び出した。開幕投手候補の東浜の外角高めに浮いた135キロスライダーを完璧に捉えた。「できればシーズンまでホームランを取っておきたいというのはあるんですけど。オープン戦とはいえ、打てて良かったです」。左中間席に飛び込むオープン戦1号。無人の観客席の前でゆっくりダイヤモンドを1周した。

すぐに、おかわりした。4回1死の第2打席は再び東浜から、今度は甘く入った114キロカーブに反応した。「追い込まれた形になったので、より的を絞って。きた球に反応しただけです」。2発目は左中間テラスに運んだ。初対戦した投手の変化球に即座に対応。ここまで実戦6打数1安打だった昨季の韓国球界打点王が、ついに目覚めた。阪神の新助っ人がオープン戦で2打席連発は01年クルーズ以来19年ぶり。「順調にきている証拠だと思います」と笑みを浮かべた。

矢野監督は「狙って打ったというより対応で打って。相手にとっては嫌なホームランだったと思う」と適応力を評価。変化球に対応した2発に「(球を)追っ掛けない。自分の形を持っている。自分のタイミング、ポイントに引き込んで振れる部分は長所としてある」とうなずいた。

史上初となった無観客でのオープン戦。指揮官は「難しいのは難しいけど、やり出したら俺らのことに集中するしかない」と声を絞った。サンズ弾に加えて大山2発、高山1発と計5発の空中戦での勝利には「こんなにホームランが出る試合はファンの人が入ってくれたら喜んでくれたやろうなとか。声援とか、それがないのは寂しいなと思う」。続けて「自分らは自分らのベストの調整、準備をして。シーズンが始まって、お客さんに入ってもらえるように」と気を引き締めた。

虎党の声援を浴びられなかったサンズも「しょうがないこと。こういう予防はしっかりして、できるだけ早く治まることを願っています。たくさんのファンの中で、いい雰囲気でやりたい」。今度は球場に詰めかけたファンの前で、正真正銘の“来日1号”を披露する。【奥田隼人】

▽阪神ボーア(3打数無安打)「(無観客は)経験したことなく、変な感じはしました。これからは開幕も近づいてきたので、打席も増やしていきながらしっかり振れるようにやっていきたい」