阪神の新外国人ロベルト・スアレス投手(29=ソフトバンク)が開幕ローテーション入りに大前進だ。
7日、2軍教育リーグの中日戦(鳴尾浜)に先発し、5回1失点の好投。最速153キロをマークし、3度の見逃し三振を奪うなど制球力も光った。安定感を示して開幕5戦目の25日DeNA戦(横浜)の先発最有力候補に躍り出た。翌日の26日に出場選手登録を抹消し、同日先発のガンケルを昇格させる「助っ人フル活用プラン」が現実味を帯びた。
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「最強のジョーカー」の予感たっぷりだ。スアレスが真価を発揮したのは4回だ。先頭遠藤を外角145キロでバットを折る三邪飛に料理。2死からシエラを手玉に取る。初球はズバッと内角速球でストライク。難なく追い込み、149キロ速球に手が出ない。この見逃し三振に球威、制球力のすごみが凝縮されていた。
この日は8安打を浴び、外野からの本塁好返球に救われて2度、適時打をまぬがれた。それでも要所で崩れない。5回1死満塁では藤井を沈む球で空振り三振。遠藤も難なく抑えた。5回1失点の内容に2軍首脳陣も声をうわずらせた。
平田2軍監督 コントロールが安定している。5イニング投げられて、まったく心配ない。十分(1軍でも)通用する投球だよな。
香田2軍投手コーチ 安定しているよね。もっとコントロールがアバウトかと思ったら、コントロールもいいからね。冷静だしね。
この日、1軍ではガンケルが4回7失点と乱れただけに好投が頼もしく映る。矢野監督は「外国人の入れ替えをするにあたって、先発もしてくれるとありがたい。先発の方がそういう部分がある」と説明。開幕ローテーションに大前進だ。外国人1軍4人枠で救援のエドワーズを固定起用。開幕から助っ人野手3人制が可能な、25日DeNA戦(横浜)の先発の有力候補となった。
ここでスアレスを「先発投げ抹消」すれば、翌26日にデビューする見通しのガンケルの出場選手登録が可能になり、助っ人1枠を有効活用できる。矢野阪神の開幕ダッシュローテが見えてきた。ソフトバンクでプレーした過去4年は3勝止まり。先発も救援もこなせるマルチぶりが買われて加入し、2月のキャンプ中からの実戦を重ねて、じわじわと評価を高めている。
開幕から2週間を切ったタイミングで5イニングを託した意味は大きい。76球の熱投を見せたスアレスも「スタミナの部分で球数を多く投げられてよかった。こうやって長く投げられるようにやりたい。全体的によかった」と話した。剛腕だがフォークやスライダーも操る本格派だ。香田コーチは言う。「暖かくなったら、もっと(球威が)強くなりそう」。目立たず渋い存在だったが、敵の脅威になりそうだ。【酒井俊作】
<阪神スアレスの投球内容>
【1回】
滝野 一ゴロ
高松 左前打
藤井 見逃し三振
遠藤 四球
堂上 右前打
【2回】
シエラ 投ゴロ
石垣 見逃し三振
桂 中飛
【3回】
岡林 一ゴロ
滝野 二塁内野安打
高松 中前打
藤井 遊邪飛
【4回】
遠藤 三邪飛
堂上 一ゴロ
シエラ 見逃し三振
【5回】
石垣 左前打
桂 三ゴロ
岡林 右前打
滝野 中前打
高松 中前適時打
藤井 空振り三振
遠藤 二直
5回1失点。76球。最速153キロ。8被安打4奪三振1四球。