逆襲のファンファーレが鳴った! 阪神藤浪晋太郎投手(25)が11日、ヤクルトとのオープン戦(神宮)に先発し、4回2安打無失点1四球と結果を残した。直球にキレがあり、課題の変化球も「感触としては一番良かった」と手応え。荒れ球も生かしながら5三振を奪った。シーズン開幕が延期。開幕ローテーション争いがさらに続く状況で、復活の右腕が大外から突っ込んできた。

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ペットの音色が響いた。G1のファンファーレ-。次打者・塩見の登場曲。マウンドに向かった福原投手コーチがささやいた。「いい音楽、流れてるやないか」。競馬好きの右腕に、スイッチが入った。「ちょっとテンション上がりました」。フルカウントから外角に152キロ直球を投じる。打者は反応できずに見逃し三振。完全復活への道が一気に開けた瞬間だった。

直球は最速153キロを計測し、キレを取り戻した。課題の変化球も精度が上がった。「キャンプから実戦で投げてきた中では、変化球の感触としては一番良かったかなと思います」。2回には中村からスライダーで見逃し三振を奪い、4回にはカーブで青木を投ゴロに打ち取った。この回には塩見への5球目に頭部付近へ球が抜けたが、その後の投球で大崩れしなかった。「カットボール、フォーク、カーブも使えましたし、やりたかったことは出来た投球じゃないかなと思います」。4回を2安打1四球無失点。5三振を奪う快投に、藤浪はベンチで思わず笑みをこぼした。

開幕延期が決まり、ローテーション争いも「延長戦」となる。矢野監督は「良かったね。躍動感も出ていた。手応えがあるようないい顔で、ボールを投げられていた。ああいうのがシンタロウの姿だと思う」と評価。その上でこう続けた。「もう1個ほしいなと思う。もう1つカウントを早くとかね」と、有利なカウントで打ち取ることを次の課題に求めた。復活への手応えを感じたからこその注文だった。

この日、東日本大震災から9年を迎えた。「普通に野球ができること、当たり前のように野球をやらせてもらえること、今年もしっかり感謝してまたやっていきたいと思います」と日常をかみしめる。この日のような快投が続けば、開幕ローテーション入りも見えてくる。「まだこれからもアピールもしないといけないですし、しっかり練習したいと思います」。藤浪がシーズンへ追い込みをかける。【磯綾乃】

▽阪神福原投手コーチ(藤浪について)「真っすぐも良かったと思います。一段階ずつ階段を上がっている」

▽阪神梅野(藤浪の投球に)「ゲームが進んでいる中では(抜け球も)有効球だと思う。それでダメになるんじゃなくて、そういうのがあった中で次にストライクを取れたのが大きい。流れの中で投げられたのが良かった」