20日のプロ野球開幕は延期となったが、各球団のチームづくりは着々と進む。打線の主軸や先発ローテーションを組むのと同様に、近代野球で重要なポジションとなったのがクローザーだ。リリーフ陣を固めることが勝利を引き寄せる。オープン戦が終了したこの機会に「守護神」を深掘りしてみた。

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侍ジャパンの守護神も務めるであろうDeNA山崎康晃には本当に期待している。すでにチームで5年も抑えとして活躍し、技術的にそれほど言うことはない。その上で、今年は試合の流れを自分で読むことを意識してプレーしてほしい。

山崎はここまで303試合に登板し、296回を投げてきた。試合数よりイニング数が少ないということは、回またぎや複数回の登板が少ないということ。今の時代、基本的には1イニングでいいのだろうが、試合の流れの中で、例えば8回のピンチなど「ここは中継ぎではなく、抑えが行かなければいけない。守護神じゃないと相手へ傾いた流れを止められない」という場面がくる。

その時、自分から「僕が行きます」と言えるくらいになっていいと思う。抑えはチームの勝敗を背負っているわけだし、山崎はそれくらいの経験を積んできた。今年は9回頭からではなく、8回走者ありの場面で出てくる山崎をもっと見たい。

このオフ、将来的な大リーグ挑戦の意向を表明した。大リーガーと比べてもフィジカル的に問題はないし、強いて弱点をあげるとすれば疲れた時にツーシームが落ちなくなるくらい。質の良い真っすぐは十分米国でも通用する。だから私は去年から、もっと直球の比率を多くしろと言っているのだ。

私もフォークに頼ることはあったが、同様に苦しくなるとツーシームに頼りたくなる気持ちは分かる。だが直球があってこそのツーシームだということを忘れてはならない。それと山崎は全球一生懸命に投げるから、抜くところとのメリハリをつけられれば、もっと楽に投げることができるだろう。自らの右腕でDeNAを優勝させ、笑顔で米国へ行けることを願っている。(佐々木主浩・日刊スポーツ評論家)

◆イニング数が試合数を超える主なクローザー メジャー歴代最多652セーブを挙げた元ヤンキースのマリアノ・リベラ氏(50)は、抑えに昇格した97年から13年連続でイニング数が登板試合数を上回った。自己最多53セーブでセーブ王に輝いた04年は74試合で78回2/3。97年から引退した13年までの通算では、1035試合で1109回に投げた。主にパドレスで活躍した通算601セーブのトレバー・ホフマン氏(52)は、通算1035試合で1089回1/3。最多セーブを獲得した98年は66試合で73回0/3だった。現役で球界を代表する守護神、ケンリー・ジャンセン(32=ドジャース)は通算605試合で611回2/3。10年間で試合数よりイニング数が少なかったのは14、15、16年の3年だけ。16年には自己最多の47セーブを記録している。

NPBでは、元横浜・佐々木主浩氏(52=日刊スポーツ評論家)がストッパーを務めた92年から99年まで、イニング数が試合数を大きく超えた。この8年間の通算は331試合で434回1/3。06年途中から抑えに定着した阪神藤川球児投手(39)も10年までイニング数が上だった。10年はセットアッパーを兼ねた回またぎが多く、2回投げることもあった。