15日に終了したオープン戦の成績を基に、米国流データ指標「セイバーメトリクス」を用いて今年新加入の外国人選手を評価した。サンプル数が少ない中ではあるが、野手ではDeNAのタイラー・オースティン内野手(28=ブルワーズ)が活躍。公式戦でも期待できそうだ。

オースティンは初打席から2打席連続本塁打を放つなど、12球団最多タイの4本塁打。打者の攻撃力を表すOPSでは、同1位の1・296をマーク。来日1年目のオープン戦でOPSが1を超えた選手は、規定打席以上では10年金泰均(ロッテ)以来で、過去20年でも4人目だった。

OPSは出塁率と長打率で算出するが、特に長打率が優れていた。12安打のうち10本が長打(二塁打6、本塁打4)になるなど、長打率が12球団トップの8割5分7厘。最近のオープン戦で長打率8割5分以上は、04年にオープン戦で3冠王だった岩村(8割5分7厘)以来。この年の岩村はシーズンでも44本塁打を放っているが、オースティンも同様に長打力を発揮できるか。

気になるのはサンプル数の少なさ。オースティンはメジャーでの昨季、オープン戦17試合で打率3割5分4厘、OPS・984をマークしたが、シーズンでは89試合で打率1割8分8厘、OPS・705と不発に終わっている。また春先だけだった、とは言わせない活躍を今年は見せたい。

◆中島(巨人)がオースティンに次ぐOPSを記録した。昨季はわずか1本塁打に終わったが、オースティンと並ぶ4本塁打と、長打力を発揮した。オープン戦でOPSが「1」を超えたのは西武時代の06年(1・068)以来。オープン戦首位打者となった同年は、シーズンでも自身初の打率3割をクリアしている。14年ぶりの「タイトル」を取った今年は、復活の年にできるか。

◆OPS(On-base Plus Slugging) 出塁率+長打率で算出する指標で、打者の総合的な攻撃力を表す。チーム得点との相関が強く、計算も簡単なことから重用されている。平均は0・710前後で、0・900以上で一流、1・000以上で超一流とされる。昨季の両リーグトップは鈴木(広島)の1・018。

◆セイバーメトリクス 米野球学会の略称「SABR(セイバー)」と測定基準を意味するメトリクスを組み合わせた造語で野球を客観的データで分析し、選手の評価を行ったり戦術を組み立てる試み。メジャーで浸透しているデータ指標。