DeNA柴田竜拓内野手(26)が課題克服への階段を上っている。新型コロナウイルス拡大防止のため開幕延期が決定。無観客でのオープン戦の全日程を終え、この日は本拠地でロッテと練習試合に臨んだ。正二塁手筆頭のソトが欠場する中、1本塁打を含む3打数2安打2打点の活躍。開幕日程がいまだ不確定の状況下で、プロ5年目の小兵が定位置奪取へ奮闘している。

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無人の右翼席でホームランボールが寂しそうに跳ねた。2回1死一塁。柴田がロッテ二木の内角139キロをコンパクトなスイングで捉えた。打った瞬間の1発を「走者を置いた状況だったのでホームランというよりは引っ張る意識で打席に入った。イメージしながらだったので、打球方向は良かったと思う。無理に打ちにいった部分はある」。歓声がないダイヤモンドを淡々と周回した。

オフはレイズに移籍した筒香との合同自主トレに励んだ。“師匠”から日常的にアドバイスを求めるも、練習中は見て学ぶ、見て盗むを繰り返した。筒香からは「守備だけで満足してたらそのまま終わる。打たないと、これから入ってくる選手に抜かれる。1軍に居続けることはできない。守備と同じくらい、もっと打撃にこだわらないといけない」と叱咤(しった)された。ただ、ただ、うなずくしかなかった。分かっていても…はプロの世界では通用しない。

オリジナルを追求することが打撃力向上につながる。状況を見極め、チームにとって必要な打撃が柴田の生きる道になる。投手との間合い、試合の間合いに強い意識を置く。「カウントが深まると率が上がりにくい。初球から振れるように準備している。相手との間、間合いを常に意識している」と課題克服の糸口を見いだそうとしている。

#開幕を待つファンへ-。超満員の興奮から生み出される躍動感をあらためて実感させられている。開幕延期については「僕たちに操作できないこと。ファンの皆さんからの力をすごく感じる。早く、ファンの皆さんの前でプレーしたい。そうなる日まで僕たちは心と体の準備をするだけ。自分ができる最高の準備をしたい」と柴田。コロナ終息を願い、球春到来を待つ。【為田聡史】