中日加藤匠馬捕手(28)が、バットでの2年連続開幕マスク取りを誓った。5月31日、ナゴヤドームでの練習後に代表取材に応じ「立場的にレギュラーではありません。1本でも多く打ちたい」と意欲をみせた。昨季打率は2割2分8厘ながら、セ・リーグの屋外本拠地では全て3割を超えた。2日からの練習試合はヤクルト戦(神宮)で始まる。得意の屋外からドラフト4位郡司、木下拓との正妻争いでアピールする。

   ◇   ◇   ◇

中日ナインは、2日に再開される練習試合へ向けてナゴヤドームで最後の全体練習に励んだ。その中、6年目の加藤が打撃練習で懸命にバットを振っていた。

「立場的にレギュラーではありません。とにかく結果を出さなきゃいけないと思っています。1本でも多く打ちたい」

危機感をにじませた理由がある。チームの捕手で最多92試合に出場した昨季、大野雄とバッテリーを組んできた。ただ、5月29日の紅白戦で開幕左腕の球を受けたのは、ドラフト4位郡司。オープン戦で打率3割5分7厘をたたき出し、勢いに乗るルーキーだ。大野雄と郡司がバッテリーを組んだことを聞かれると、加藤は複雑な表情を見せた。

「レギュラーが決まっているわけじゃない。他のキャッチャーも含めてみんなレギュラーを狙っていると思います。なので、特にあまり思っていません」

東京6大学で3冠王を獲得した慶大出身の郡司、1発もあるパワー自慢の木下拓。ライバル2人の台頭が、昨季打率2割2分8厘だった加藤の打撃への傾倒に火を付けた格好だ。そして、明確にテーマ設定が出来ている。

「センターから右に外野の間を抜く、という打撃を心掛けています。引っ張って柵越えしたとしても、そんなバッティングは試合で使えませんから。次につなぐ、ということをやり続けています」

リーグ屈指の強肩捕手が求めるプラスアルファ。練習試合12試合では打撃への比重を高めて、正妻奪取を狙っていく。その上で、あるデータが追い風になるかもしれない。昨季の加藤はセの屋外本拠地では強打者に変身している。横浜での打率3割8分5厘を筆頭に甲子園3割7分、神宮3割5分、マツダスタジアム3割3分3厘と全て3割を超えた。

「神宮で結果を出していたことを知ったので、いいイメージを持っていきたいです。とにかく結果にこだわっていきたい」

まずは神宮でのヤクルト3連戦。3週間後に迫った開幕戦で今年もマスクをかぶることができるのか。加藤の追い込みが始まる。