凱旋(がいせん)勝利は飾れなかった。

千葉出身の日本ハム上沢直之投手(26)が11日、ロッテ7回戦(ZOZOマリン)に先発。風速10メートルを超える名物“マリン風”と熱帯夜に苦しみながらも6回3安打と抑えたが、ロッテ・マーティンに浴びた1発に泣いた。チームの連勝は4でストップし、4カードぶりにカード初戦を落とした。

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日が落ちても気温30度という熱帯夜の幕張で、上沢の107球の粘投は実らなかった。四球と安打で走者をためた5回。2死二、三塁から、3戦連続本塁打中だったマーティンに右翼席中段まで運ばれた。前の打席で三振を奪ったチェンジアップが、真ん中に入った。

上沢 大事なところで踏ん張ることができず、申し訳ない気持ちでいっぱいです。やってはいけないことをしてしまい、次回登板に向けて反省しなければいけないと思います。

カクテル光線に照らされた表情には、悔しさがにじんでいた。

風速10メートルを超える強風が吹き付ける敵地マウンドで、立ち上がりから制球に苦労した。昨年4月以来となる生まれ故郷・千葉での凱旋(がいせん)登板。「変化球もよく曲がるし、真っすぐも吹き上がるようなイメージがある」と楽しみにしていたが、試合後は「思うようにコントロールできない場面があった」と、序盤から球数がかさんだ。

だが初回だけで20球を要しながら、「試合が進むにつれて修正できた」。3回は15球で3者連続三振。4回も12球で内野ゴロ3つと尻上がりに調子を上げ、6回まで7奪三振。勝負どころでの1球だけが悔やまれた。

栗山監督は「内容は抜群に良かったけど、問題はその1球で勝負が決まること。本当に、あの1球」。真夏の夜、1球の怖さを、しっかりと胸に刻んだ。【中島宙恵】