広島2年目の島内颯太郎投手(23)が1回無失点の快投でプロ初ホールドを記録した。2-2の同点の7回に2番手で登板。1軍では自己最速の155キロの直球主体の投球で、強力打線を粉砕した。これで無失点投球は10試合連続。チームは接戦の末に両リーグ最多の6度目の引き分けに終わったが、今季新たに勝ちパターン入りした若武者が、苦しい中継ぎ陣の中で輝きを放った。

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島内の剛速球に、リーグ首位打者のバットが空を切った。先頭の梶谷を154キロ直球で三直に。柴田を153キロの直球で遊飛に仕留めた。宮崎に左前打を許し、打席に4番佐野を迎えた。3球で追い込み、カウント1-2からの4球目。1軍では自己最速の155キロの外角直球で相手主砲を空振り三振に切った。10試合連続無失点で、プロ初ホールドを記録した。

「去年3試合くらいでホールドがつく場面でいかしてもらって、全部失敗して、引きずっているところがあった。そういう意味ではホールドが「1」ついて、気持ちも一段落できた。モヤモヤが取れました」

1年目の昨季は中継ぎとして25試合に登板したが、防御率4・40に終わった。さらなる進化を目指し、育成強化を目的として3月に新設された投球動作解析班の「2・5軍」で鍛錬を積んだ。足を上げた際にためを作ってから投球動作に入る新フォームに変えた。2軍戦で157キロを計測するなど奮闘。7月7日に1軍に昇格した。

1軍昇格後はためを作る新フォームから、クイック投法にシフトチェンジした。「どうしても先頭打者に入りきれなかった。ランナー出してからの方が内容が良かった」。投手コーチと話し合い、「最初からクイックで投げたらどうか」と助言を受け変更。「無駄な動きをなくして、良い感じにはまってきています」と手応えを口にした。

今オフは中崎に弟子入りし、塹江らと合同自主トレを行った。その際に中崎から助言を授かった。昨年までは「2軍に落ちるのが嫌だとか考えながら投げていた」という右腕は中崎から「変化しないと1軍の舞台では残れないよ」と指摘されたという。「ザキさんの言葉を聞いて、打者に向かっていくというか、余計なことを考えないことが大事だと思った。それは今でも自分の中では大きいなと思っています」と明かした。

快投を続け、勝利の方程式へ昇格した。島内は「今日のホールドは今後につながる試合だった。これからも信頼を勝ち取れるようにやっていくだけです」。チームは苦戦が続く中、背番号43が新たな救世主として、大きな存在感を示し続けている。【古財稜明】

広島佐々岡監督「自分でチャンスをつかんでいる。これからも今日のような投球を続けて欲しい」

◆島内颯太郎(しまうち・そうたろう)1996年(平8)10月14日、福岡県生まれ。光陵-九州共立大から18年ドラフト2位で広島入団。1年目の昨季は25試合に登板し0勝0敗0セーブ、防御率4・40。180センチ、83キロ。右投げ右打ち。