広島ドラフト1位の森下暢仁投手(22)が8回5安打1失点でチームトップの5勝目を手にした。前回7月31日の巨人戦では5回2失点で黒星を喫したが、リベンジを果たした。この試合の6回で規定投球回に到達し、防御率は巨人菅野に次ぐリーグ2位の2・14。チームの勝ち頭となった黄金新人が、チームの2引き分けを挟む連敗を「3」でストップさせた。

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森下が稲妻のように鋭い球で、巨人打線に立ち向かっていった。試合序盤、カミナリが球場内に鳴り響いた。暗雲たちこめる空には目もくれず、坂倉のミットだけをめがけ、右腕を懸命に振った。8回5安打1失点。巨人戦初勝利でチームの連敗を「3」で止めた。本拠地初のお立ち台では「勝つことに意味がある。これから投げる試合もしっかり勝てるように投げていきたい」と胸を張った。

初回からテンポよくアウトを積み重ねた。2安打無四球でプロ初完投&完封勝利を挙げた14日の阪神戦同様、最速151キロの切れ味抜群の直球に、カットボールやカーブで緩急をつけ、凡打の山を築いた。打線も初回に3試合連続バッテリーを組む坂倉の3ランなどで5点を先取。「安心して投げることができました。(坂倉は)投球のことも考えてくれたので、あそこで打ってくれて本当に助かりました」と喜んだ。

仲間の“声”が右腕の背中を押す。この日3度の打席で流れた登場曲は、親交のある男性デュオのRefRise(リフライズ)が歌う「18(HERO)」。「自分をイメージして作ってもらいました」とプロデビューに合わせ、書き下ろしてもらったという。森下が大学時代から好きな「未来は可能性」という言葉も、歌詞の中に盛り込まれている。多くの後押しが快投を支えている。

「新人王」獲得への強い気持ちをにじませた。この日の快投で規定投球回に到達。防御率はリーグ2位の2・14と抜群の安定感を誇る。巨人戸郷は規定に達していないものの、現在6勝2敗で防御率2・11。高卒2年目右腕について「全然意識しています。(結果は)気になっている」とライバル心を燃やし「(新人王を)取りたい気持ちはどんどん強くなっています」と目をギラつかせた。無限大の可能性を秘めた黄金ルーキーが、プロ入り前から目標に掲げるタイトル獲得へ、勝利を積み重ねていく。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(森下について)「チームがこういう状況の中で、しっかり8回までよく投げてくれた。新人ながらカード頭を投げてしっかりゲームを作ってくれている。そこは励みにしてほしい」