プロ17年目の西武内海哲也投手(38)が、移籍後初登板初先発で732日ぶりの白星を逃した。巨人時代の2018年9月14日以来の1軍登板。3回まで無安打投球も、4回と6回にジョーンズに初球をスタンドへ運ばれた。2発に泣き、6回3安打4失点。「調子はよかったけどジョーンズの入り方。(森)友哉はボールから入ろうというサイン。そこに応えられなかった。反省しても反省しきれない」と振り返った。

低め、低め。懇切丁寧に投げた92球。最速139キロも徹底的にベルトラインより下に集めた。「試合前いろいろしんどかったことを思い出して、感慨深いというか、頑張らないといけない気持ちがふつふつと湧いていた」。昨年10月、移籍1年目から痛めていた左前腕の手術に踏み切った。2軍キャンプからつかんだチャンス。スタンドには地元・京都から母広子さんも駆けつけた。ファンへ、家族へ、勝ちを届けたかったが、思わぬ形で傷口を広げた。

4回に初安打を許した直後の4番中川の打席。投ゴロを二塁悪送球で一、三塁のピンチを招き、ジョーンズの先制3ランにつながった。鳴り物も応援もない静かなマウンドで、投げる瞬間「(一塁走者が)走った!」と聞こえた。「いい感じのゴロだったんで、早く投げればゲッツー取れると焦りました」。上限5000人の有観客試合は初。ベテランらしく反応したからこそ焦りにつながった。

6回2死で杉本をこの試合4個目の三振に打ち取ると、歴代56人目の通算1500奪三振を達成した。「積み重ねてきた記録。ようやく達成できてホッとしています。願わくば(白星と)両方ともとれるようマウンドに上がりました」。白星はお預け。それでも復活を印象づける内容だった。【栗田成芳】

▽西武辻監督(内海を23日に登録抹消も、近日中にも再登録し先発させる見込み)「今日くらいの投球してくれれば十分だと思います。(次回登板は)他の投手の兼ね合い。1回飛ばしても10日でいける」