勝利への道筋を描いた。広島遠藤淳志投手(21)が、プロ入り最多120球の熱投を見せた。3回に先制点を許しながらも、そこから粘って7回を1失点にまとめた。勝ち星を手にすることはできなかったものの、チームの勝利に貢献。今季初の巨人戦3連勝で、借金を4に減らした。

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最後の力を振り絞った。同点の7回2死一、二塁。遠藤はプロ入り最多の120球目に選択したチェンジアップが外角に決まると、短く叫び、そして控えめに両手をたたいた。強打者丸を見逃し三振。前回2日の対戦で完投した巨人相手に序盤から丁寧に攻め、7回1失点。巨人戦連続星は逃したものの、チームを勝利に導く熱投だった。

2時間57分で完投勝利した前回とほぼ同じ、2時間52分を投げ切った。プレーボール直後に降雨で42分間の中断があった。1回1番松原に四球を許した直後に降り出した雨が強くなり、続く2番坂本に2ボールとした直後に中断。ブランクの影響もあり、再開直後の坂本を四球で歩かせピンチを招いた。それでも巨人の中軸を打ち取り、無失点。慎重さが1回に要した球数28球に表れていた。

3回に「長打警戒」だった坂本に先制の二塁打を浴びたが、崩れなかった。巨人先発は1学年下の直江。霞ケ浦時代には練習試合で対戦したこともあるという。「やりましたね。ただ投げ合ったことは覚えていない。(相手が誰でも)勝つことしか考えてない。相手がどの選手でもチームを勝利に導ければいいです」。プロでも1年先輩。昨年すでに1軍で34試合に登板し、今年も先発9試合目。直江が4回で降板したあともマウンドを守り続け、意地を見せた。

勝ち星は付かなかったものの、森下、大瀬良に続き、クオリティースタートで勝利への道筋をつくった。年が近い森下とは練習中から投球論をかわし、投手として参考にもする。「タイプも似ていると思うので、いろんな球種を使って、攻めていくところと、かわしていくところを見ながら、自分をイメージしながら勉強していました」。1点を先制された直後の3回1死二塁では、森下のような緩いカーブで丸に空を切らせた。

今季初めて首位巨人に同一カード3連勝となった。先発が試合をつくり、打線が援護。苦手とした1点差試合で巨人相手に勝利した。シーズン序盤苦しんだ佐々岡広島が、好循環になりつつある。【前原淳】

▽広島佐々岡監督「立ち上がり球が高くて今日は(調子が)悪いのかなと思いながらも、粘って試合をつくってくれた。悪い中でああいう投球ができたのは成長の証しだと思う」