DeNA上茶谷大河投手(24)が、今季初勝利を挙げた。7回を107球、5安打1失点。最速149キロの力強い直球を軸に変化球を低めに集め、猛虎打線を最少失点に封じた。

開幕70戦目で、ようやく白星を手にした2年目右腕は「すぐに逆転してもらって、いい流れで投げられました。打線に感謝したいです」と謙虚に喜んだ。

今季は開幕ローテ入りを確実としながら直前に右肘炎症で離脱。7月24日広島戦で復帰後も調子が上がらず8月8日に登録抹消。それでも「やっぱり1番はストレートの強さにこだわって」調整を続け、同25日に再昇格。今季6度目の先発は、磨いてきた直球で最後まで押した。

逆転した直後の2回2死、7番梅野に対してカウント2-2からの5球目。捕手戸柱のサインに首を振った。「カットボールが緩んで打たれるよりは、真っすぐで打たれた方が悔いが残らない」と、内角高めに146キロ直球を投げ込み、空振り三振を奪った。

さらに3点リードの7回2死一、三塁の1発同点のピンチでは、同じく梅野に外角低め149キロ直球を投じて右飛に仕留め、右手をグッと握り締めた。

「ランナーを置いたセットポジションで指のかかりがよかった。いつもは変化球に逃げがちだったけど、信頼できるボールになりました」とうなずいた。

力投を見守ったラミレス監督も「素晴らしい。今年だけでなく昨年から見てもベストのピッチング。1つ違うレベルに上がったかなと思えるくらいだよ」と大絶賛だ。シーズンも後半戦。殻を破った右腕が、1つ1つ勝利を積み上げる。【鈴木正章】