巨人原辰徳監督(62)が「打撃の神様」で「V9監督」の川上哲治氏を超える、球団史上最多の監督通算1067勝目を挙げた。元ヤンキース監督のジョー・トーリ氏(80)、ソフトバンク王貞治会長(80)、巨人長嶋茂雄終身名誉監督(84)と野球界の偉大な先人から祝福のメッセージも届いた。同点の8回にルーキーイヤーから育てた坂本に決勝ソロが飛び出し、貯金は今季最多の21。2年連続Vへ突き進んでいく。

元NHKアナウンサーで現在はフリーの工藤三郎氏(67)が、コメントを寄せた。

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川上さんとは80年代から、原監督とは96年からの3年間、テレビ、ラジオでご一緒させていただきました。中継でのおふたりは対照的でしたね。川上さんはしゃべる内容を事前に私と打ち合わせし、「君の放送は硬いから1時間にいっぺん笑いをいれよう」なんてことまで指示してくださった。原監督は感性豊かな言葉とアドリブで、聴く人をひきつける。「打撃は1、2の3の『の~』が大事。うん、もうちょっと長い『の~』で」という感じです。

共通していたのは情の濃さ、決断力、そして貫く力です。原監督は「ジャイアンツ愛」「夢」を追い求めていくロマンチスト。川上さんは現実派にみえて、人情派。巨人で活躍した淡口選手がトレードで近鉄に移籍した時、私が近鉄のキャンプ地の日向(宮崎)に取材で行くと知ると、「このお酒を持っていってくれ」と頼まれたりしました。

しかし、おふたりとも、ユニホームを着ると私心を徹底的に消す。戦後の巨人監督で、就任1年目に優勝したのは川上さん、藤田さん、原監督の3人だけ。川上さんは「監督が代わるということは戦力ダウンの結果でもある。だから1年目は必ずしんどい」とおっしゃっていました。川上さんは個人プレーの時代にチームプレーを採り入れ、原監督も就任1年目から選手を大胆に入れ替えました。

勝つためには非情の改革も辞さず、いったん決めたことはどんなに批判を浴びようと最後まで貫く。野球人としての根っこの部分は重なる部分が多いと思います。