4番のバットが止めた。広島鈴木誠也外野手(26)がリーグ2位タイの18号3ランを含む2安打3打点2得点の働きでチームの連敗を3で止めた。1回には前回2安打完封の中日大野雄からビッグイニングを作る1発を放ち、天敵左腕の連続完投記録も6試合で止めた。1点差の8回には右中間への二塁打で追加点の起点となった。低迷するチームを4番がけん引し続ける。

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3ボールからの4球目、低めボール球となるフォークに空振りした直後だった。4番鈴木誠は中日大野雄の5球目、150キロを再び強振した。完璧にとらえた打球はすさまじいスピードで左中間方向へ飛び、そのままスタンドに吸い込まれた。1点先制した1回無死二、三塁から飛び出した2戦連発となる18号3ランで、6試合連続完投中だった左腕の出ばなをくじいた。

「感触は良かったです。打カウント(バッティングカウント)だったので、自分が振れる球は振っていこうという感じで入った。甘いところに来たので振りにいけた分、ああいう結果になったと思います」

制球がばらついた左腕の立ち上がりを突いた。1、2番の連打で無死一、三塁。ピレラがヘッドスライディングで二塁を陥れる先制打で続いた。前回2安打完封負けした左腕から4者連続安打の鮮やかな先制攻撃を4番が締めた。1点差に迫られた8回には中日5番手又吉からライナーで右中間を襲う二塁打を放ち、堂林の2点打を呼び込んだ。

チームはなかなか浮上できず、自身も12日に打率3割を切った。フラストレーションはたまる。この日は試合前、赤いバットでフリー打撃を行った。マスコットバットではなく、試合で使う86・5センチ、900グラムと同型。試合用が削れることを防ぐとともに「気分転換」の意味合いもあった。中堅方向への基本を徹底する意識は、いつもと変わらなかった。

2試合連続の複数安打とし、打率を再び3割に乗せた。4番の活躍でチームは連敗をストップ。佐々岡監督も「(1回は)いい攻撃だった。誠也が打って勢いがついた」と2度の1イニング複数得点に絡んだ主砲をたたえた。「出ている以上はやることは変わらない。苦しいですけど、若い選手が経験を積んでいるので、チームにとってはプラスなんじゃないかなと思います。最後までしっかり戦えたら」。ベンチでは年下の選手と話をする姿も多くなった。若き主砲からチームの絶対的中軸へと成長を遂げようとする4番がシーズン最後までチームを引っ張っていく。【前原淳】

▽広島堂林(1点リードの8回に1死一、二塁からダメ押しの中越え2点適時二塁打) 気合で打ちました。チャンスだったので、集中力も高まっていましたし、前の打者が敬遠された後だったので、より気合が入りました。