阪神が背水の陣となった巨人3連戦の初戦を落とし、今季73試合目で自力優勝の可能性が消滅した。序盤から先手を取る展開も中盤以降に投手陣が踏ん張れなかった。起死回生を狙った矢野燿大監督(51)の采配も不発に終わり、東京ドームでは開幕7連敗。巨人のマジック点灯を許し、15年ぶりのリーグ制覇は遠のいた。

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虎が東京ドームで1つも勝てないまま、巨人の優勝マジック「38」点灯を許した。3度のリードも逆転負け。矢野監督は宿敵のM点灯を受け止めつつ、前を向いた。

「俺らのやるべきことは、優勝マジックが出たからといって、何も変わることはない。可能性はゼロじゃない。この1敗で下向いて野球やるわけじゃない。明日また成長して、前向いて。相手のことは関係なく、自分たちが成長できること、勝つことを考えてやっていきます」

勝負手は実らなかった。逆転された直後の7回表。無死一、二塁と2番手高梨を攻めた。2番梅野は初球、バントの構えから1ボールを選んだ。2球目。バスターエンドランを仕掛けた。だが、投じられた球は梅野の足元に食い込むボール球の変化球。空振りで二走小幡が三塁タッチアウト。その後も得点できず。矢野監督は「勝負にいった結果なんでね。責任というか、それは俺自身が受け止めているし。俺としてはいくべきところでいったというところです」と振り返った。

先発に高橋をたて、近本が菅野打ちの2発。6回のピンチでは、奮闘する岩貞も投入した。それでも対菅野に4戦全敗となる敗戦で、東京ドームは7戦全敗。6月19日の開幕戦から同球場で3連敗。前回8月の敵地3連戦では3試合連続完封負け。悔しい思いを喫し続けてきた地で、この日も無念の黒星となり、指揮官は言った。

「いろいろ受け止めていかないといけない部分があるし。今日も球際であったり、ここで決めるとか、そこの差が出たゲームだったかな。現状、俺らも成長していかなあかんし、そういう部分がジャイアンツに上回られてしまったかなというところはある。球際とか、ここ抑えたらという勝負どころって、投手も粘れるか、打者も決められるか、つなげられるかというところになる。成長がもっともっと必要かなと思います」

攻撃陣のたたみかける力、投手陣の踏ん張り、守備力。1つ1つは小差でも積み重ねは大きな差になる。10・5ゲーム差となり、今カードで自力優勝の可能性が復活することもない。だが、決して、戦いは終わりを迎えたわけではない。それを示すためにも、まずは東京ドームでの今季初勝利を刻みたい。【松井周治】