平成生まれのエースが、昭和、平成、令和と破られなかった球団史の扉を開いた。巨人菅野智之投手(30)が、6回7安打3失点で開幕戦から11連勝。38年春のスタルヒンの球団記録に82年ぶりに並んだ。自身の登板試合では、初点灯となるマジック「38」を点灯。原政権下では、13年(46試合)を超える最速となる残り48試合で記録した。チームは今季初の8連勝(1分け挟む)で、リーグ2連覇へ一気に加速する。

  ◇    ◇    ◇

球界を彩る数々のG戦士の中で、たった2人の重みを菅野は心で受け止め、空から見守るスタルヒンへ思いを込めた。

菅野 数々のすばらしい記録を残している方だと知っていますし、まさか自分がそこに並べるとは思ってもなかった。こうやって、スポットライトが当たることに対して、スタルヒンさんも喜んでくれてるのかなと思います。

85年目を迎える伝統ある球団で、38年春のスタルヒンの球団記録に並ぶ開幕投手からの11連勝を成し遂げた。その事実に驚きながら、偉大すぎる先人の功績に敬意を表した。

「今日はあまり体調が良くなかった」と、近本に16年7月28日広島戦の田中広以来、自身2度目となる2打席連続被弾。それでも自らが掲げる“勝利の鉄則”で流れを引き戻した。ひもとくカギは、得点した直前のイニングに隠される。この日奪った三振は5だが、4つはイニングの最後の打者。注目すべきは2回、4回、6回で、その全てで得点を挙げた。

菅野にとって、三振は攻撃へと転じる最大の武器である。「球場やベンチも『うわ~っ』て感じになる。ただ抑えるだけじゃなく、流れを引き寄せるにはそういうのも必要ですし、ピンチの時こそ、三振で終わるというのが大事」。ターニングポイントに挙げた4回2死満塁。「コース重視よりも球威を重視した」と151キロの直球で木浪を空振り三振に抑えた。

大きな変革を遂げ、大記録を成し遂げた。2年目の14年。自らの人生観について「『やれば良かった』と思うことはあっても、『何でやったんだろう』ってことはないです。1度決めたことは突き進めます」と言った。1月、腕から始動する新フォームに挑戦。「変われる勇気」と「変わらない信念」を軸に今なお変化し、究極を追い求める。

自身の登板試合では初点灯となるマジック「38」をともした。残り48試合での点灯は原政権下では史上最速だった。チームは1分けを挟み、今季初の8連勝で2位阪神と10・5差。リーグ2連覇へ独走態勢のチームの中心に、無敵の開幕投手が君臨する。【久保賢吾】