中日が中京大中京(愛知)の高橋宏斗投手(3年)を26日のドラフト会議で1位指名する可能性が高まった。進学希望だった同投手は6日、名古屋市内の同校で会見し、プロ志望届の提出を表明。これを受け、加藤宏幸球団代表(61)が「1位候補として考えるべき素材」と明かした。大学生や社会人の即戦力で検討していたドラフト戦略を大幅修正。地元出身の最速154キロ右腕獲得を目指すことが濃厚になった。

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中日が地元出身の世代屈指の154キロ右腕獲得に本格的に乗り出す。この日、中京大中京・高橋がプロ志望届提出を同校で表明。中日加藤球団代表は、「13日の編成会議でスカウトと相談する。当然リストには入っていたが、進学の可能性が高かったので、プロ入りを表明するなら地元の選手だし、考えなおさないといけない。評価は高いし、1位候補として考えるべき素材だと思う」とドラフト戦略の変更を明らかにした。

高橋は慶大進学を希望していたが、この日AO入試で不合格となった。スカウト陣は進学希望の高橋の調査と並行して、即戦力野手の近大・佐藤輝明内野手(4年)、即戦力右腕のトヨタ自動車・栗林良吏投手(24=名城大)らもリストアップ。地元出身の若手有望投手のプロ入り表明でドラフト戦略を大幅修正することになった。

松永編成部長は「今は静観。何も言えない。会議の中で上の考え、現場の考え、球団の考えを照らし合わせていく。評価は間違いなくトップクラス」と明言を避けた。だが中日は従来、地元重視志向が強い。近年も18年に大阪桐蔭で春夏の甲子園を連覇した岐阜出身の根尾を1位指名。昨年も愛知出身でセンバツVの東邦石川昂を、ともに他球団と競合の上、1位で獲得してきた。球団関係者は「高橋がプロ志望届を出せば、取りに行く」と話しており、与田監督も交えた13日の編成会議で最終決定するとみられる。

高橋は8月の甲子園交流試合、智弁学園(奈良)戦で延長10回を3失点完投し、11三振を奪う快投でさらにプロ球団の評価を高めた。26日のドラフト会議まで3週間を切る中、根尾、石川昂に続く超高校級の地元スター獲得へ、中日の動きもヒートアップしそうだ。

▽中日与田監督(高橋のプロ表明に)「素晴らしい素材。映像でも確認している。彼も加えた中で話をしていきたい」

▽中日米村アマスカウトチーフ(高橋について)「目標が絶たれたときに、僕がコメントを言うのは差し控えたい。もちろん、志望届を出した時点で最高の評価はしている。高校生でいくのが即戦力でいくのか、答えを出さないといけない」