阪神、巨人などが今秋ドラフト1位候補に挙げる近大のスラッガー、佐藤輝明内野手(4年=仁川学院)が日刊スポーツの独占インタビューに応じた。厳しい徹底マークを受けながらも、この秋の関西学生リーグでも結果を残している。「本塁打は流れをガラッと変えることもできる。それが僕の役目」とプロでも持ち味のアーチでファンを沸かせる意気込みを明かした。【取材・構成=石橋隆雄】

-巨人、阪神をはじめ、12球団が面談に訪れる

佐藤 ありがたいし、うれしい。でも、それもしっかり結果を残してからの話。今はリーグ戦のことで頭がいっぱいです。

-この秋の関西学生野球リーグでは、6試合すべて3番三塁でフル出場。厳しいマークの中で9日現在、6試合で21打数6安打、打率2割8分6厘、1本塁打、5打点。6四死球の成績を残している

佐藤 我慢というか、簡単には絶対に来ないんで。打てる球をしっかり打つという感じです。

-野手が右に寄る「佐藤シフト」も多い

佐藤 シフトはあまり気にしていない。打球が上がれば安打になるので。

-9月12日、関学大戦では1点を追う9回に同点ソロとなる今秋1号本塁打。中堅122メートルの皇子山のバックスクリーンにライナーで突き刺した

佐藤 狙っていたというか、場面が場面だったので、長打がほしいところだった。飛んだところがどこであれ、本塁打になってよかった。

-本塁打こそが佐藤選手の魅力

佐藤 本塁打は試合の流れをガラッと変えることもできるので、それが僕の役目かなとも思います。しっかりとらえないと、本塁打にはならない。打った時の気持ちよさは、野球をやっていて一番ですね。飛距離が出るのも持ち味だと思っています。詰まっても柵越えできるくらいに。

-プロ野球選手の本塁打動画などはよく見る

佐藤 よく見ますね。プロもメジャーも。最近ではバレンティン選手(ソフトバンク)がヤクルト時代(の13年)に60本打った時の映像を見ました。ボール球だろうが運んでいく感じで楽しかったですね。僕も早く今日のホームラン集みたいな映像に出たいですね。

-今はまだコロナ禍で制限があるが、満員の球場でアーチをかけてみたい

佐藤 そうですね。ファンを楽しませるのがプロ野球選手だと思う。打席で何が起こるか分からない選手は、見ていても楽しいと思うし、そこで結果を残す選手になりたい。

-兵庫・西宮市出身で小さいころは甲子園球場にも観戦に行った

佐藤 甲子園、京セラドーム大阪、ほっともっと神戸。一番多いのは阪神戦でした。特にファンとかではないですが、プロ野球の球場の雰囲気は好きですし、小さいころは想像できませんでしたが、あの舞台でプレーできる可能性があると思うとワクワクしますね。

-プロへ行っても活躍できる自信はある

佐藤 ずっと自信を持ってやってきたので、これからも自信を持ってやっていきたい。

-その自信はいつから

佐藤 高校2年の冬にジムへ通い、体を大きくしてから。そこからプロへの思いも強くなりました。

-メジャーリーグのハーパー(フィリーズ)は好きな選手のひとり

佐藤 打撃でも守備でも華がある。ダイナミックな感じ。あの雰囲気が好きです。年々、打撃はシンプルに、力感なくというようになっている。突き詰めていけば(打撃は)そうなるのかなと思います。

-リーグ戦の残りは4試合。立命大、関大と優勝を争う大事な試合が続く

佐藤 ひとつも負けられない。打撃の状態は上がっている。万全の状態で臨みたいですね。

◆近大佐藤のリーグ戦成績

年・季 試合 打率 打数 安打 本塁打 打点

17春 11 ・270 37 10 0 4

17秋 11 ・267 45 12 2 12

18春 12 ・333 51 17 2 12

18秋 12 ・354 48 17 3 9

19春 12 ・333 42 14 2 12

19秋 13 ・188 48 9 2 9

20春 新型コロナウイルスのため中止

20秋 6 ・286 21 6 1 5

※20年秋は9日現在

◆佐藤輝明(さとう・てるあき)1999年(平11)3月13日、兵庫・西宮市生まれ。甲東小1年から甲東ブルーサンダースで軟式野球を始める。6年ではタイガースジュニアに選出も右肘を痛めて活躍できなかった。甲陵中では学校の軟式野球部に所属。仁川学院では高校20本塁打。近大では1年春からレギュラー。2年春から3季連続ベストナインに選出(2年春は外野手、2年秋と3年春は三塁手)。リーグ戦通算12本塁打。ベンチプレス130キロ、左右の握力75キロ。父博信さん(53)は日体大の柔道部(86キロ級)で、現在は関学大の准教授。187センチ、94キロ。右投げ左打ち。