阪神藤浪晋太郎投手(26)が球団最速、NPB日本人2位の162キロをたたき出した。

同点で迎えたヤクルト戦の7回2死。代打松本友から高めの真っすぐで空振りを奪ってマークした。中継ぎ転向後、160キロ台連発の爆発力と安定感を発揮し、7戦連続0封の完全復活モード。日本人最速、大谷翔平の165キロにあと3キロだ。延長10回ドローで最大の見せ場を作り、甲子園をどよめかせた背番号19に更新の期待が膨らむ。

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スピンの効いた直球が高めに伸びる。松本友のバットが間に合わない。162キロ。球団最速記録が表示されると、甲子園が「オーッ」と沸いた。藤浪はどよめきを耳にすると、電光掲示板を振り返った。

「出た瞬間は気付かなかったですけど…。真っすぐを1、2、3で来ると思って、腕を振って差し込みにいかないと合わされるかなと思った。いいボールだったと思います」

同点の7回表に登板。3者連続で空振り三振を奪った。7番中村は外角159キロ、8番西浦は外角低めスライダー、代打松本友は低め149キロスプリットで仕留めた。松本友への2球目には球団最速記録を更新。日本プロ野球では日本ハム大谷の165キロ、巨人ビエイラの163キロに次ぐ数字に「出たこと自体はいいこと」と納得した。

2連投。前夜の反省を生かし、フォームに微修正を加えた。左足を上げる際、ピンと真っすぐだった右足をこの日、少し曲げた。「自分は腰高になると、どうしてもタイミングが合わなかったりする。重心を低くというイメージで。重心を落としてプレートを蹴るぐらいのイメージで投げるとタイミングも良かったので」。球速だけでなく、確かな手応えも手にしたようだ。

今季限りで現役を引退する藤川からも及第点をもらっている。2月の沖縄キャンプ、2軍の鳴尾浜でアドバイスをくれていた大先輩は15日から1軍に合流。「右足が動かなくなったな」「右足をしっかり固定できて左足や両手が自由に使える状態で、いいバランスで投げられている」。レジェンドからの言葉の数々も自信につながっている。

これで7戦連続無失点。ブルペン待機にも慣れ、本来の躍動感を完全に取り戻しつつある。

「なんとなく『この辺で行くだろうな』とタイミングが分かってきた。あたふたしなくなりました。いまだにリリーフは緊張しますけど、多少は勝手が分かってきたというか。そういう意味では、落ち着きもあるかもしれません」

新天地。1球1球が未来につながっている。【佐井陽介】

○…矢野監督も藤浪の成長や変化を感じ取った。「だいぶ慣れてきたと思いますし、中継ぎをやるのはこれからの野球人生でも大きなプラスになる。いい経験をしてると思います」。162キロをたたき出したことにも「持ち味なので。どんどん速い球を投げて勝負していってもらえたらいいなと思ってます」と話していた。