青森山田シニアが圧倒的な力を見せつけ、秋連覇とみちのく4連覇を飾った。決勝は先発全員の17安打でライバル東北楽天シニア(宮城)に13-3で完勝。5番藤田一颯内野手(2年)が特大2ランを含む3安打5打点と大暴れした。昨秋から東北での公式戦連勝を「26」に伸ばし、4季連続の「東北V」となった。準Vの東北楽天、3位決定戦を制した七ケ浜シニア(宮城)とともに、来年3月開催の全国選抜(大阪)に出場する。

チーム内で「ジャイアン」と親しまれる藤田が、特大アーチを描いた。11-3の7回2死一塁。165センチ、74キロの体いっぱいに使って内角直球をフルスイング。今大会2号は右翼の防球ネット中段に突き刺さり、推定飛距離120メートルのダメ押し2ラン。愛称通りの豪快な1発にスタンドも沸いた。「芯に当たれば飛んでいく。手応えは完璧でした」。悠々とダイヤモンドを走りだすも、二塁ベース付近から全力疾走でホームを駆け抜けた。ベンチの中條純監督(29)に「早く走れ」とせかされ、慌てた。藤田は「中学通算3本目のホームランだったので、満喫しようと思った。反省しています」と苦笑いした。

恩返しの1発でもあった。三沢市(青森)出身の藤田は親元を離れ、寮生活を送る。「感謝しきれないです。小学校の時に、たくさん食べさしてもらったので、今の自分の体がある」。母の手料理では豆腐とワカメの入ったシンプルなみそ汁がお気に入り。「みその濃さがちょうど良い。帰省したら、必ず食べます」と笑顔。スタンドで見守った母にバットで応えた。

チームは偉業の東北4連覇を達成。だが、決して楽な道のりではなかった。初戦の仙台宮城野には2-1、3回戦の東北福祉仙台北にはタイブレークの末、8-7でサヨナラ勝ちの辛勝が続いた。中條監督は「3年生の粘り強さが、継承されている。目指すは『ゾンビ青森山田』なので、逆転されても、簡単には負けない」。七転八起の精神で、ナインは勝ち続けた。

残すは「日本一」の称号を手にするだけだ。指揮官は「青森山田のユニホームを着ている以上、全国の上位に進出して、初めて認められる」。過去最高成績の8強超えで、新たな歴史を刻む。【佐藤究】