26日のプロ野球ドラフト会議で1位指名競合が確実視される早大・早川隆久投手(4年=木更津総合)のインタビュー。後編は、主将の背番号である「10」に感じる重みや、オフの過ごし方、さらに1週間を切ったドラフトへの思いを語った。【取材・構成=古川真弥】

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最初は戸惑った。昨秋の早慶戦後。3位に沈んだ悔しさをかみしめていたら、小宮山悟監督(55)に「頼むぞ」と、次期主将に指名された。

早川 受け止めるまで多少の時間がかかりました。

小中高と副キャプテンばかり。何をすればいいのか? 歴代の主将たちに聞いて回った。口をそろえて「投手のキャプテンは自分の成績が優勝に関わる。チームにああだ、こうだ言うより、結果にこだわった方がいい」とアドバイスを受けた。

すぐ頭に浮かんだのは、同じ左腕で主将を務めた2年先輩の小島和哉投手(現ロッテ)の姿だ。投げるだけじゃない。打者としても全力。内野ゴロでも一塁を駆け抜けていた。

早川 野手が、負けられないとモチベーションになる。小島さんが見せてくれていたので、自分もやれば、チームがいい方向にいくと思いました。

練習でも手を抜かなくなった。たとえば、投手陣に課される両翼ポール間走。ライン手前で減速する選手もいる中、ラインをまたぐまで走りきる。ブルペンでは、ボール半個のズレにこだわるようになった。

早川 半個、内に入るだけでホームランになるので。そういう姿を見せたい。そこまで追求する選手がプロに行けるんだと、後輩たちのお手本になればいい。

実は、自身も去年まではライン手前で減速していたと告白する。

早川 立場が人を変える、じゃないですが、キャプテンという立場をもらい、チームの大黒柱になった。使命感、自覚、責任を感じています。背番号の自覚が、一皮、二皮、成長させてくれている。キャプテンの早川がどういう練習、言動をしているのか、みんな見ていると思っています。

主将に引っ張られたチームは、今秋の東京6大学リーグ戦で、ここまで4勝2分けの負けなし。15年秋以来の優勝をうかがう。

主将として、エースとして、野球部にささげる毎日。息を抜く時間はあるのだろうか。週1日のオフも体のメンテナンスで終わることが多いというが、趣味は映画観賞。好きな1本に、ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ主演「マイ・インターン」(15年・米国)を挙げた。デ・ニーロ演じる老人が、シニア・インターンとして採用されたハサウェイの会社を、豊かな人生経験を伝えることで変えていくストーリー。

早川 人間、経験が大事なんだなと。徳武さんに早稲田の伝説、歴史を聞くのは大事だなと思いました。

徳武定祐コーチ(82)に旧安部球場(戸塚球場)時代の話を聞いた。「暗い中、練習してボールが見えない。投げ返すと危ないから、ノックは1球ずつホームまで届けにいった。“一球入魂”じゃないが、そうやって思いを届けるのは大事だぞ」。心して聞いた。

しかし、趣味まで野球につなげてしまうとは…。

早川 思考回路が野球につなげちゃうのかも知れません(笑い)。

うれしそうに言った。そんな主将にドラフトが迫る。1位候補として。

早川 本当に光栄です。でも、それ以上の期待に応えられる選手になっていかないといけない。「前の早川よりレベルアップしてるぞ」と言ってもらえる選手になって、入団しないといけないと思ってます。

10月26日。どんな運命が待とうとも、上へ、上へ、進んでいく。(おわり)

◆早川隆久(はやかわ・たかひさ)1998年(平10)7月6日、千葉県生まれ。上堺小1年からソフトボールを始める。横芝中では軟式野球部に所属。木更津総合では1年秋からベンチ入り。2年春と3年春夏に甲子園出場。早大では1年春からリーグ戦に登板し、通算50試合で11勝12敗、防御率2・71。3年時は大学日本代表として日米大学選手権優勝に貢献。180センチ、76キロ。左投げ左打ち。