阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が、残留アピールの決勝2ランを放った。左ふくらはぎの故障で2軍生活が続いたが、3カ月ぶりに3番三塁でスタメン復帰。その初回初打席で左中間に3号弾をかっ飛ばした。マルテ、ボーア、サンズのMBS砲が再結成され、チームは3年ぶりに100本塁打に到達。大山がプロ入り初めて右翼を守る新布陣も試し、残り16試合に来季への光を見いだす。

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普段は寡黙なマルテが感情を爆発させた。自軍ベンチ前でエアハイタッチを終えると、雄たけびを上げながら左手を思いきり夜空に突き上げた。3カ月ぶりの1軍復帰打席で特大の決勝2ラン。けがに苦しんできた助っ人が、生き返った。

初回1死一塁、広島遠藤のスライダーを左中間へ運んだ。「家を出る時から1打席目でホームランを打ってやろうと思って来たんだ」。左ふくらはぎの張りで途中交代した7月4日広島戦以来の出場だったが、即スタメン起用に燃えた。来季残留も猛アピールする、会心の1発回答になった。

2軍でリハビリを続けていた夏場。サンズとボーアは打線の軸としてチームをけん引していた。マルテは8月8日に実戦復帰したが、中前への安打性を放った際に再発。一塁まで走れず、「中ゴロ」アウトが記録された。その後も離脱と復帰の繰り返し。1軍では4番を任されていただけに、もどかしさが募った。

それでも「野球が好きだから」とモチベーションを維持してきた。2軍首脳陣が「マルちゃん!」とあいさつすると笑顔で受け答え。練習や試合が終わると毎回丁寧にスパイクを洗い、道具の手入れも一生懸命。「下も上も関係なしにみなさんすごくよくしてくれた。監督、コーチも含めて常にサポートしてくれた結果。本当に感謝したい」。

矢野監督も絶賛した。「起爆剤になって欲しいなっていうところでね。最高の結果で応えてくれました」。スタメンにマルテ、ボーア、サンズのMBS砲が復活した日、今季チーム100号となる節目のアーチで飾った。チームの3桁本塁打は17年の113本以来、3年ぶりの大当たりだ。

今季初のお立ち台では「ミンナ、タダイマ」と、流ちょうな日本語であいさつ。頼もしい宣言も飛び出した。「アシタモオレガヤル。サイコー!」。帰ってきたマルテが、残り16試合を熱くする。【只松憲】