中日大野雄大投手(32)が、1シーズンでは歴代12位となる45イニング連続無失点を継続中。現役では、日本ハム・ダルビッシュが11年に樹立した46イニング(歴代11位)、阪神藤川が06年に樹立した47イニング3分の2(歴代7位)に迫る快記録だ。

ダルビッシュ、藤川ともにまさかの形でゼロ行進が止まった。ダルビッシュの紙面記事を復刻する。大野雄が投げ合う相手は好投手の西勇。結果はいかに-。(所属など当時)

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<阪神2-1日本ハム>◇2011年6月15日◇甲子園

日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)の記録がついに止まった。阪神戦(甲子園)の3回2死三塁でまさかの暴投。6試合ぶりに失点し、連続イニング無失点は「46」でストップした。パ・リーグ新となる4試合連続完封の達成もならなかった。1-1の7回には勝ち越しタイムリーも許し、8回を今季最多の被安打9、2失点。開幕戦以来9試合ぶりの黒星を喫した。チームも5月23日横浜戦以来の連敗で、わずかに可能性を残していた交流戦Vの夢もついえた。

聖地の大熱狂を、最後まで五感に焼き付けた。ダルビッシュが、ベンチで最後まで久々の敗北を見届けた。驚異的な進撃をすべてリセットする今季2敗目。潔く、9安打を浴びた猛虎打線を立てた。「うまいこと、阪神打線にやられましたね。この前とは振りが違った」。1日の対戦で4安打完封した再現を目指したが、かなわず。どこまでもサバサバと、報われなかった快投を解説した。

あっさりと、快記録に自ら幕を下ろした。序盤からのピンチをしのぎ、迎えた3回。46イニング連続無失点へと伸ばし、落とし穴が待っていた。先頭打者のマートンの中前打に失策も絡み、1死三塁のピンチを招いた。難敵の鳥谷を空振り三振でしのぎ、あと1死。続く主砲の新井貴に、豪快勝負を挑んだ1球で「0行進」がストップした。

カウント1-1からサインは外角直球。投球の組み立ての基本である低めではなく、あえて高めを狙った。高度な力、技術がなせる業が裏目に出た。

ダルビッシュ 空振りを取れるゾーンへ投げようとして、伸びていくと捕手が捕れないことがある。低めに投げてバットを出して合わせられるのが嫌だった。

4回以降は「ここから粘っていこうと考えた」と切り替え、試合をつくり直した。試合序盤から抱えていた使用球への違和感があったことも、記録継続に少なからず影響した。白井球審に「もう少し、こねてほしいとお願いしたけれど『定められた土じゃないと無理』と言われた。今までと全然、違った」。フィット感の違いへの戸惑いも、今季交流戦5戦目で初失点の伏線になった。

最速155キロをマークした速球を軸に8回2失点。7回にマートンに、決め球の外角ツーシームを右前へ運ばれ、自身の連勝も「8」で止まった。目指したリーグ新の4試合連続完封の野望も、断たれた。「周りの友人や知り合いは気にしていたけれど、自分は気にしていなかった」。打者技術が飛躍的に向上した現代野球。色あせない偉大な記録への挑戦は、終止符を打った。ダルビッシュは少し羽を休め、次なるステージへ飛び立つ。

▼ダルビッシュの連続無失点は46イニングでストップした。前の試合まで44イニング連続無失点のダルビッシュは、3回2死から暴投で失点。連続イニング無失点の計算は野球規則の10・02(c)の【注】に決められており、失点のあったイニングのアウト数は加算しないため、連続無失点は歴代11位の46イニングとなる。70年以降、46イニング以上無失点を続けたのは06年藤川(阪神)とダルビッシュの2人だけだが、藤川も7月12日広島戦で2死から暴投を犯して無失点が止まっている。