第2の故郷へ恩返しだ。日本ハムのドラフト1位苫小牧駒大・伊藤大海投手(23)が29日、苫小牧市役所を表敬訪問した。岩倉博文市長(70)を前に、プロ入りへ向けて決意を表明。駒大苫小牧から大学まで、自身を育ててくれた苫小牧市への感謝とともに、同じく同市から巣立った高校の先輩、ヤンキース田中将大投手(31)に負けじと、プロでの飛躍を誓った。

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思い出が詰まった街で伊藤が誓いを立てた。「8年間、お世話になって故郷だと思っている。なにか還元できるものがあればこれからも協力していきたい」。表敬訪問した苫小牧市役所でこれまでの感謝を伝え恩返しを約束。岩倉市長から「苫小牧としても大きな誇りですし、うれしい限り。伊藤選手の野球人としての歩みを支え、見守っていければ」とエールを受けた。

伊藤にとっては生まれ故郷鹿部町の次に長く過ごしてきた特別な場所だ。「苫小牧にくると野球のスイッチが入るというか、僕の中ではそういう環境になっていた。苫小牧は鍛錬の場だというのはずっと思っていた」。中学卒業後に進んだ駒大苫小牧時代から苫小牧駒大まで、第2の故郷として自分を育ててくれた。「先輩に負けたくないという気持ちもあるので、少しでも近づけるように食らい付いていきたい」。高校の先輩ヤンキース田中のように苫小牧から飛躍を目指す。

夢を与えるプロ野球選手としての意識はすでにあらわれている。「僕もプロ野球選手という職業に夢を与えられた立場。次は逆の立場で、小さい子どもたちになにか夢や希望を与えられるような活動もやっていけたら」。将来的には野球教室の開催や、野球少年たちを球場へと招待することも思い描いている。

苫小牧には思い出の味もある。「縄文さんのラーメンが好き。店長も応援してくださっていて」。市内にある「らーめん縄文」は高校時代から通っているなじみの店。店長の高桑大さん(50)は「いい野球人生だったと思えるプロ野球生活にしてほしい。縄文から大海くんの夢を祈っています」と期待する。伊藤は「野球人としてもそうですし、人間として魅力のある、応援したくなるような選手になりたい」。応援を力に変え、必ず活躍する姿をみせる。【山崎純一】