西武育成1位の東北公益文科大(山形)赤上優人投手(21=秋田・角館)が29日、酒田市内の同大で指名あいさつを受けた。最速153キロ右腕として、3年秋にチームを10季ぶりのリーグ制覇に導き、今秋は優秀選手と2度目の最多勝を獲得。前田俊郎育成・アマチュア担当チーフ(55)は「実績はこれからですけど、東北に貢献できる、菊池雄星投手(現マリナーズ)みたいになってほしい」と大きな期待を寄せた。

目指すのは、先発ローテーション入り。赤上は「育成選手なので、泥臭く、貪欲に。一刻も早く支配下登録されて、西武を代表する投手になりたい」と力強く言い切った。担当の水沢英樹スカウト(51)からは、辻監督のメッセージ入りドラフトIDを首に掛けてもらい、サイン色紙をもらった。「かっこいいですね。実感が湧いてきました」と目を輝かせた。

角館時代は遊撃手。大学1年秋に横田謙人監督(50)から投手転向を勧められ、最速153キロ右腕に成長する素質を見抜いてもらった。赤上は「監督さんに出会っていなかったら、今の自分はいない。プロ野球選手のスタートラインに立たせてもらった」と感謝した。同じ秋田出身の水沢スカウトは「初めて見たのは高校3年の春。まさか、大学で150キロを出すなんて、ビックリしたよ。彼は相当努力したと思うよ」と目を細めた。

昨冬に覚えたカーブが今春に開花し、投球の幅が広がった。「キャッチボールや遊びで投げる程度だったけど、緩急がほしくて」と独学で習得した。3月のオープン戦では、新球種を積極的に試投。力のある直球との相性は抜群で、水沢スカウトの目に留まった。赤上も「球数も少なくなった」と手応えを口にする。同大から創部17年目で初のプロ野球選手となり、「与えられた役割できっちりやっていきたい」と足元を見つめながら、1歩1歩前進していく。【佐藤究】