巨人坂本勇人内野手が1安打を放ち、2000安打へ残り3本とした。4回1死、広島九里の直球を中前にはじき返し、大きな拍手を浴びた。「1本1本、1打席ずつ打ちたいという気持ちはずっと変わらない。あと1、2本出たら意識するんじゃないですか」。右打者では史上最年少の偉業に周囲の盛り上がりは高まる中、淡々と安打を重ねる。

三塁側ベンチから目に焼き付けたあの1本が忘れられない。17年8月13日の広島戦(マツダスタジアム)。9回1死、阿部(現2軍監督)が右前打を放った瞬間、敵味方関係なく、大歓声と大きな拍手が胸に響いた。花束を手に一塁ベースに向かって、ガッチリと握手。師匠と同じ地で達成する可能性が見えた。

広島の地で、メモリアル達成を報告したい恩人がいる。試合前練習中に倒れ、10年4月7日に亡くなった木村拓也さん。現役時代は二遊間を組み、グラウンドを離れれば食事にも誘ってくれた優しい先輩。10年からコーチと選手の関係に変わっても、「拓さん」と頼った。広島では残り2試合。師匠、恩人の思いも胸に打席に入る。【久保賢吾】