今季限りでの引退を表明した中日吉見一起投手(36)が5日、ナゴヤドームで引退会見を行った。会見では終始笑顔。現役引退を決めた理由について「自分の立ち位置、1軍に上がれない葛藤、全て客観的に見つめなおして、現役をやりたい気持ちもあったが、仮に続けても同じことを繰り返すのかと思い、(10月)30日に決断した」と話した。

吉見は05年に希望枠で中日入団。08年から先発として台頭し、09年は16勝で最多勝。11年は18勝で最多勝、防御率1・65で最優秀防御率の2冠に輝き、チームのリーグ制覇に貢献した。

入団直後、当時正捕手だった谷繁元信氏(後に中日監督、現日刊スポーツ評論家)に「お前はストライクゾーンの低めで勝負しないといけない。フライアウト、フライヒットはお前の責任だ」と言われたことを思い起こした。

思い出の試合として、19年6月22日の日本ハム戦(ナゴヤドーム)でトヨタ自動車時代からの先輩で、尊敬する金子弌大と投げ合って通算89勝目を勝ち取った試合を挙げた。

「てっぺんも底辺も、両方見られたことは、野球以外で生きる。15年が長いか短いかわからないが、90(勝)も勝つことができて、いい野球人生だった」とプロ生活を振り返った。引退後は球団を離れ、ネット裏に活躍の場を移す予定だ。

同投手の現役引退セレモニーは6日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)。通算223試合目となる本拠地最終戦で先発する。