最速152キロ右腕の広島ドラフト4位智弁和歌山・小林樹斗投手(17)が5日、和歌山市内の同校で球団からの指名あいさつを受けた。「勝てる投手」を念頭に、1年目から1軍で活躍することを目標に掲げる。将来的には直球の最速160キロ到達を目指す。

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小林は高い志を胸に、プロの門をたたく。表情にはまだあどけなさを残すが、身長182センチ、体重86キロと高校生離れした恵まれた体格を誇る。「勝てる投手」をポリシーに掲げる右腕は「プロ入りする以上は1年目から投げたい。その気持ちは強く持っている。少しでも早く1軍で投げられるようにしたい」と強い覚悟を口にした。

直球の最速は152キロを誇り、持ち味のカットボール、スプリットに加え、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップと多彩な変化球を操る。将来的には「160キロは出したい数字」と目標を掲げた。その一方で、「あくまで勝つことが大事。そこはぶらさずにやっていきたい」と揺るぎない信念を持つ。「勝てる投手」の理想は巨人菅野と広島森下。「勝ち続けられる投手は魅力的です」と目を輝かせた。

高校生ながら経験は豊富だ。昨年までは先発を務め、今年はチームのバランスを考えた配置転換により、中継ぎ、クローザーとしてチームを支えた。「先発なら試合を作るのが第一。中継ぎなら1球目からしっかりいいボールをどんどん投げていくことが必要になる。いろいろ経験させていただいたので、感謝の気持ちは大きいです」。

当初は上位候補として注目されていた。担当の鞘師スカウトは4位指名を「想定外ですね」と語った。即戦力投手を上位で指名する戦略で、他球団で上位指名されると予想していただけに「1、2位で指名される選手。彼とは縁がないなと思っていた。とても下で残る投手ではない。12球団の指名が間違っていたということを証明してほしい」と活躍を期待した。

広島のドラフト4位は前田智徳、金本知憲らスター選手を輩出した“出世枠”だ。小林は「しっかりその波に乗っていけるように頑張ります」とニヤリ。まだまだ伸び盛りの右腕。大志を抱き、スター街道を駆け上がっていく。【古財稜明】

◆小林樹斗(こばやし・たつと)2003年(平15)1月16日生まれ。和歌山県美浜町出身。松原少年野球クラブで野球を始め、松洋中では軟式野球部に所属。智弁和歌山では1年春からベンチ入り。昨夏の甲子園3回戦の星稜戦で先発し、ヤクルト奥川と投げ合った。50メートル6秒4、遠投110メートル。182センチ、86キロ。右投げ右打ち。

 

○…元阪神の智弁和歌山中谷監督が、OB2人そろっての活躍を期待した。広島には小林の2学年先輩の林がいる。「夢はカープで林が4番を打って、小林が先発、中継ぎ、抑えか分からないですけど、与えられたところでしっかり抑えられる投手になること」。また同校OBの日本ハム西川や楽天黒川らの名前を挙げ「日本シリーズのレベルの高いところで、智弁和歌山対決があればうれしいです」と語った。