ソフトバンク王貞治球団会長(80)が17日、栗原陵矢捕手(24)に「三振指令」を出した。

チームは日本シリーズに向けてペイペイドームで全体練習を開始。クライマックスシリーズ(CS)では先発野手で唯一無安打だった栗原を見つけると声を掛けた。「三振したっていいんだから。個人成績は関係ないよ。自分がヒーローになるんだ、というつもりで思い切っていけばいいんだ」。最後はガッツポーズも添えて、背中を押すように激励した。

6年目の栗原は今季初めて主力に定着。118試合に出場し、ともにチーム2番目の17本塁打、73打点をマークした。だが初経験のポストシーズンでは力を発揮できずにいる。チャンスでも動じない思い切りのいいスイングが薄れ、ロッテとのCS第1戦の初回1死満塁で併殺打に倒れるなど、王球団会長はいてもたってもいられなかったようだ。

日本シリーズでも先発メンバーに名を連ねることが濃厚だ。工藤監督も壁を乗り越えることを期待し「緊張するなと言うのは難しい。その中でどう楽しむかが大事。後悔しないように練習してほしい」と思いやった。「世界の王」に言葉をもらった栗原は最後まで居残りで打撃練習を行った。悔しさを晴らし、胸を張って日本一を勝ち取る。【山本大地】