矢野阪神2年目は野手陣でも大きな収穫があった。軸として期待された2人が、堂々の成績を残してみせた。シーズン後、矢野監督が今季最も成長を感じた選手について語った。

「野手でいえば近本、大山の2人。近本は苦しくて、近本も2年目のジンクスがあるのかなという時期もありましたけど、乗り越えて。走攻守、全てにおいてレベルアップしてくれた。大山は開幕から出られない時期があった悔しさをバネに、ホームラン王は取れなかったですけど、争うところまでいってくれた」

近本は6月の月間打率が1割2分8厘と、開幕直後は苦しんだ。だが、7月に月間打率2割7分6厘と立て直し、それ以降の月間打率は8月3割5分2厘→9月2割9分5厘→10月3割2厘→11月3割。全120試合出場し、139安打、打率2割9分3厘、81得点はチームトップ。81得点は142試合出場だった19年と同数で、チームの得点に大きく貢献。31盗塁で2年連続の盗塁王にも輝いた。

春季キャンプから三塁をマルテと争っていた大山は開幕戦は出場できず、開幕2戦目に先発5番左翼で今季初出場。マルテが左ふくらはぎを負傷した7月4日のゲームで1号アーチを描くと、翌5日に4番三塁で先発出場。28本塁打で、巨人岡本らとキング争いを演じた。4番を65試合務め、9月はサンズが好調だったため5番に入ったものの、月間9本塁打の暴れっぷり。85打点もシーズン自己最多でリーグ3位。積極的な打撃スタイルもさえ、中堅から右方向の本塁打も4年目で最多の計10本を数えるなど広角に打つ技術に磨きをかけた。

近本は26歳、大山も12月に26歳になる。矢野監督が「悠輔(大山)ならホームランをもっと打てる。チカ(近本)も3割狙えるだろうし、ホームランだってもっと伸ばせる。守備も悠輔もチカもうまくなっている」と語るように、まだまだ伸びていくに違いない。切り込み役と主軸。チームの幹となる存在が揺るぎない数字を示したことは、21年シーズンへ大きな光となる。【松井周治】(おわり)