育成選手から支配下復帰が決まったオリックス黒木優太投手(26)が、恩人たちに感謝した。球団が4日、支配下選手契約を結んだことを発表。背番号は、入団時の54に戻った。

黒木はプロ1年目の17年、150キロ超の快速球とスライダーを主な武器に、勝ち継投の中継ぎとして活躍。55試合に投げ、6勝3敗2セーブ25ホールドと活躍。だが昨年2月に右肘痛を発症し、同6月に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を受けた。同10月に球団と育成選手契約を結び、復活を目指してきた。10月22日のウエスタン・リーグ阪神戦で力強いストレートを投げ込み、「黒木復活」を印象づけた。

この日、700万円減の年俸2100万円で契約を更改。25%の制限いっぱいの減額となったが、完全復帰にかける来季に向け「この手術を絶対に無駄にしてはいけない。もっと高いところに行ける自信はあります」と静かに巻き返しを誓った。

右肘の痛みを抱え、思うような投球ができなかった期間、大事な人たちが支えになってくれた。ロッテの元エースで背番号54の先輩、ジョニー黒木こと黒木知宏さん(46)と2月のキャンプ中に出会った。黒木にとってジョニー黒木は「黒木といったら54。ロッテの黒木さんに負けないようにオリックスの黒木を築き上げたい」と、入団時に同じ背番号を球団に直訴したあこがれの投手だ。その人から「トミー・ジョン手術は完治する。焦るな」と励まされた。復活への道しるべができた。

さらに19年1月に結婚した真理奈夫人が、大きな支えになった。橘学苑(神奈川)の同学年で硬式野球部マネジャーだった夫人は、普段の会話、手料理、さりげない気遣いで、地道にリハビリを続ける毎日で背中を優しく押してくれた。「いろんなことで、本当にぼくを支えてくれた。奥さんに感謝しています」。来季、マウンドで思いきり腕を振る姿こそ、励ましへの返礼になる。【堀まどか】