野球でもMVP取るぞ! 阪神高山俊外野手(27)が5日、ファン感謝デーでMVPに輝いた。空気で膨らませた巨大な球体をかぶる「バブルボールバトル」で敵に立ち向かい、勝利したのが決め手。5年目の今季は自己最少の42試合出場に終わった。「今日を機にいい方向に風が吹いていくように」。グラウンドでの来季逆襲を誓った。

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悔しい気持ちのほうが強かった。高山は静かに闘志を燃やしていた。ファン感謝デーのMVP。表彰式で口を突いたのは来季への覚悟だった。「素直にMVPを取れてうれしいというのと、周りは『ファン感じゃなくて野球でやってくれ』と思うと思う。僕も一番、それは分かっている」。

5年目は自己最少の42試合出場にとどまった。7安打、0本塁打、3打点、打率1割5分2厘はすべて自己ワースト。シーズンの大半を2軍で過ごした。鳴尾浜でバットを振り続けたが、1軍で結果を出せなかった。高山に危機感がないわけがなかった。

「来年は厳しいところ。『野球でやってくれ』と言ってもらっていい。それをはね返す勢いがないと駄目。風当たりは強くてもいい。だからその代わり、来年やって、思いきり手のひら返しをしてもらって…」。

MVP選出の決め手は立ち向かう姿勢だった。空気で膨らませた巨大な球体をかぶってぶつかり合い、数メートル先のゴールを目指す「バブルボールバトル」で陽川と対決。ゴリラの異名を持つ男をパワーで押し切り、勝利をつかんだ。「そういう立ち向かう姿勢を来シーズンはもっと発揮して、野球に生かしていきたい」。ワンシーンで2時間を超えるイベントの最優秀賞を獲得。来季も同じ心意気で、相手投手にぶつかりにいく。

「今日を機にいい方向に風が吹いていくように。考えようなので、そういうふうに考えながらやっていきたい」。今季不完全燃焼に終わった高山が、逆襲に燃えている。【只松憲】