中日大野雄大投手(32)が「投手4冠」を来季目標に掲げた。2年連続の最優秀防御率と初の最多奪三振に加え、初の沢村賞も表彰された。その中で、巨人菅野に3勝差で届かなかった最多勝について「今年で背中が見えた。勝つコツもつかんだ」と言及。「勝てばチームにも勝ちがつく。来年も完投して、また沢村賞も受賞できる成績を残したい」と早くも切り替えた。

開幕戦から6試合で3敗した後、2試合連続完封を含む5完投5連勝と怒濤(どとう)の巻き返し。さらに連敗を挟んで4完封を含む5連勝を飾り、45イニング連続無失点もあった。最終的に20試合で11勝6敗、リーグ1位の防御率1・82と抜群の数字を残した。最多奪三振は「シーズン途中から狙っていた」と148個で、2位巨人菅野に17個差をつけてぶっちぎり。両リーグ最多10完投で初の沢村賞も手に入れた。

活躍を後押ししてくれたのは、06年に最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、沢村賞の「5冠」を獲得した元ソフトバンクの斉藤和巳氏(野球評論家)だった。大野雄と同じ京都市出身で少年時代から憧れてきた。「先発投手は負けたらあかん。そこにこだわれ!」。今春キャンプを訪れたレジェンドに掛けられたハッパに応えた。

自身のキャリアに付け加えたいタイトルの1つが最多勝。「今年も開幕から勝っていたらチャンスはあった。味方が点を取るまで辛抱したから最優秀防御率が取れた。最高勝率は難しいが、来年は勝ちも防御率もこだわる」。10年ぶりのリーグ優勝のため国内FA権を行使せず残留したエースは力強く語った。【伊東大介】