ソフトバンク甲斐拓也捕手(28)が25日、福岡市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季年俸1億1000万円から50%増の1億6500万円で更改した。チームを3年ぶりリーグV、4年連続日本一に導いた扇の要はあらためて、2リーグ分立後は2人しかいない「フルイニング捕手」への思いを強くした。

今季は104試合に出場し、リーグ断トツ防御率2・92の投手陣を引っ張った。「キャッチャーとしてきついな、難しいと思う1年でしたが、何よりチームが優勝できてうれしい1年でした」と振り返る。

特に、ベテラン高谷が故障離脱した10月以降はほとんど1人でマスクをかぶった。クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズは全試合でフルイニング出場し、戦い抜いた。1人で戦う苦しさも、充実感も味わった。「もちろん、すべて出たい気持ちはある」。かねて掲げる、シーズンでのフルイニング出場へ思いは強くなった。

過去に達成した2人はともに「ホークス」の先輩だ。1人は63年の野村。今季から甲斐も背番号「19」を背負い、尊敬する存在だ。もう1人が03年の城島。今季から球団会長付特別アドバイザーも務める城島氏からは、キャンプやシーズン中に助言を受けた。甲斐は言う。「体は強いと思っているけど、フルイニングはものすごく大変だと感じる。野村さん、城島さんはすごいという風にしか思わない」。壁の高さを肌で感じ、自信も得た1年。来季こそ不動の存在として、常勝軍団を率いる。【山本大地】

(金額は推定)