異例の弟子入りだ。広島森下暢仁投手(23)が来年1月、主砲鈴木誠ら野手陣の合同自主トレに参加する。沖縄県内で行われる合同自主トレ参加選手は鈴木誠のほか、堂林、曽根、永井、中神、そして中日石川昂と野手ばかり。異例の野手陣の合同トレ参加も、新人王右腕には明確な狙いがある。球界を代表するコイの主砲とともに、新年のスタートを切る。

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投手で1人、野手陣の自主トレに飛び込む。プロ初のオフを過ごす森下は、来年1月5日から主砲鈴木誠らの合同自主トレに参加する。当初はエース大瀬良との自主トレを計画していたが、日程が合わずに白紙となったことで、相談相手でもあった主砲に願い出た。「責任重大」と戸惑った主砲も笑顔で快諾。来年1月5日から沖縄の地で新シーズンへのスタートを切る。

「投手は投手と(練習しないといけない)は思わないし、投手が野手とトレーニングすることに何とも思いません。投手とやっても走ったり、トレーニングしたり、やることはそれほど変わらない気がする」。

野手陣への合流にも、森下はひょうひょうとしていた。鈴木誠の自主トレといえば、午後からみっちりバットを振り込む。打撃練習の時間は長い。だが、森下にとっては打撃練習もまた、大事な練習という。軸足にためた力を踏み込んだ左足にぶつけながら上体を回転させる…。「打つ動きは投げる動きと変わらないので、打つことによって体の使い方も確認できる。体力的にも腕の力もつくと思う。自分にとってもいいと思う」。打撃向上という目的だけでなく、投球動作の意識付けにもなる。

合同自主トレ終盤には「やらせてもらえるのであれば打撃投手もやらせてもらいたい」とフリー打撃登板も予定する。鈴木誠も「(参加する野手と)お互いにとっていい練習になると思う」と歓迎する。キャンプインを前に「森下VS鈴木誠」が実現する可能性がある。開幕日が遅れて調整期間が延びる間も球数を抑えた調整を続けるなど、明確なプランを持っていた。新人王という結果を残し、さらなる飛躍が期待される2年目へ。異例ともいえる主砲とのタッグでスタートを切る。【前原淳】